『中世物語資料と近世社会』
        伊藤慎吾 著

       三弥井書店、平成29年2月22日発行
       A5判・526頁・8800円+税

目 次

 口絵 1 『八幡宮愚童記』(嬉野市・久間八幡宮所蔵)
    2 『八幡宮縁起絵巻』(佐賀市・北名八幡神社所蔵)
    3 「㊉詩文」に分類される『草木太平記』
    4 『御書物並御掛物』(多久市郷土資料館所蔵)
    5 『玉藻前之雙紙』(伊藤慎吾所蔵)
    6 葛岡宣慶短冊(伊藤慎吾所蔵)


序論 中世物語資料と近世社会 ……………………………   1
    はじめに 
    1 地方文化の発展  
    2 伝播     
    3 蔵書 
    4 職業作家の萌芽
    5 お伽草子の変容
    おわりに―本書の概要 

Ⅰ 中世物語の再生産(一)

  一 奉納縁起としての奈良絵本――久間八幡宮所蔵
    『八幡宮愚童記』をめぐって―― …………………  37
    はじめに  
    1 久間八幡宮について
    2 八幡宮伝来の『八幡宮愚童記』
    3 奉納の経緯 
    4 その後 
    5 本文
    6 挿絵構成
    7 以上の整理 
    まとめ 

  二 鍋島直之の縁起絵巻奉納――北名八幡神社所蔵
    『八幡宮縁起絵巻』の制作背景をめぐって―― …  76
    はじめに 
    1 北名八幡神社と鍋島直之 
    2 『八幡宮縁起絵巻(八幡大菩薩画図譜略)』伝来経緯 
    3 書誌解題
    4 縁起本文   
    5 石清水本との関係   
    おわりに

  三 雅人と絵巻制作――国立国会図書館所蔵
      『平家物語絵巻』について―― ……………  95
    1 書誌   
    2 本文   
    3 絵   
    4 作り手   
    おわりに 


Ⅱ 中世物語の再生産(二)

  一 公家と庄屋の交流――上時国家所蔵『曽我物語』
        について―― …………………………… 119         
     1 書誌解題  
    2 目録―各巻の構成   
    3 仮名本諸本の比較   
    4 整理 

  二 社家所蔵のお伽草子――南方熊楠書入の『文正草子』
       について―― …………………………… 139
    南方熊楠とお伽草子  
    1 高須家旧蔵本転写の経緯   
    2 高須家旧蔵本の性格 
    おわりに 

  三 真字本『玉藻の草紙』考 ………………………… 164 
    はじめに   
    1 お伽草子『玉藻の草紙』の諸本   
    2 伊藤慎吾所蔵本簡明書誌 
    3 本文の特徴   
    4 真字本としての価値  
    まとめ 

  四 物語草子の浄瑠璃本化――『月日の本地』から
     『帰命日天之御本地』ヘ―― ………………… 195
    はじめに 
    1 構成 
    2 本文   
    3 表現上の特徴 
    4 物語草子の浄瑠璃本化   
    おわりに 


Ⅲ 中世物語の再利用

  一 『源平盛衰記』の改作(一)
     ――『源平軍物語』について―― …………… 229
    はじめに  
    1 書誌的解説   
    2 構成   
    3 執筆態度 
    4 出版事情   
    おわりに 

  二 『源平盛衰記』の改作(二)
     ――『頼朝軍物語』について―― …………… 250
    はじめに  
    1 梗概   
    2 書誌解題  
    3 作品の構成と特色 
    4 『源平盛衰記』本文引用の傾向  
    5 挿絵   
    6 版元西沢太兵衛  
    まとめ 

  三 神社資料の読み物化
     ――『賀茂の本地』をめぐって―― ………… 274
    はじめに   
    1 諸本解題   
    2 諸本の系統   
    3 小括 
    4 『賀茂の本地』小考   
    おわりに 

  四 高僧伝の読み物化
     ――『弘法大師御本地』について―― ……… 320
    はじめに
    1 大師伝との関係
    2 『源平盛衰記』及び『元亨釈書』との関係
    おわりに


Ⅳ 資料編

  一 久間八幡宮所蔵『八幡宮愚童記』付「久間八幡宮
       修造勧進帳」 …………………………… 341
                
  二 北名八幡神社所蔵『八幡宮縁起絵巻』 ……… 360

  三 真字本『玉藻の草紙』 ………………………… 391

  四 『帰命日天之御本地』 ………………………… 400

  五 東京国立博物館所蔵『頼朝軍物語』 ………… 412


補論 中世物語の文芸的変容

  一 お伽草子における物尽し
      ――歌謡との関係を通して―― ………… 461
    はじめに  
    1 物尽し   
    2 『姫百合』の事例  
    3 類型  
    まとめ 

  二 物語史における脇役の変遷
      ――乳母冷泉考―― ……………………… 485
    本稿の目論見   
    1 冷泉という女人  
    2 冷泉の動向 
    3 他の物語における冷泉   
    4 冷泉の類例としての侍従   
    5 脇役流用の問題 
    おわりに 


   むすびにかえてーー近代前期における
     中世物語の公刊―― ……………………… 507

   初出一覧 ………………………………………… 519

   索 引 

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著者略歴

伊藤 慎吾(いとう しんご)
昭和47年生まれ。
國學院大學非常勤講師。
『室町戦国期の文芸とその展開』『室町戦国期の公家社会と文事』
(ともに三弥井書店)、『妖怪・憑依・擬人化の文化史』(編著、
笠間書院)、「南方熊楠『蛤の草紙』論の構想」(『南方熊楠研
究』9)など。