『「仮名書き法華経」研究序説』
 野沢勝夫 著

              2006年3月30日・勉誠出版発行
              A5判・402頁・13000円+税
 
序にかえて

一、	本書は、比較的研究史の浅い「仮名書き法華経」について、その資料に関
  する論考と「新資料」の紹介を内容とするものである。

二、	所収の論文のうち「『法華訳和尋跡抄』所引の仮名書き法華経について」
  は、『法華訳和尋跡抄』所引の逸文に祖形を求めて、伝存する「仮名書き
  法華経」の遺品について系統的な整理を試みたものである。中世の遺品の
  主要なものを 〃妙一本群〃 として同一系統下にまとめた。

三、「瑞光寺本について」「月ガ瀬本について(付)矢代本」は 〃妙一本群〃 と
  は系統を異にする二種の伝本を「新資料」として、やや詳しく紹介したも
  のである。本書の後半の<資料篇>にはその〔翻字〕と妙一本との異同を比
  較した〔資料〕とを収めた。

四、「『法華経切れ』に見られる仮名書き法華経」と「『絵巻』のなかの仮名書
  き法華経」はいずれも、中世のいわゆる「仮名書き法華経」――訓経の延
  べ書き――とは別種の仮名書き資料が存在することを示したものである。

五、「仮名書き法華経に見る謙譲の『給フ』の消長」は、仮名書き法華経を国
  語史資料として使用した研究例である。謙譲の『給フ』の四段化の時期を、
  その前後の資料で示した。

六、いずれも生硬で未熟なものであるが、「仮名書き法華経」研究のためのさ
  さやかな礎となることを願うものである。

    平成十八年三月                   野沢勝夫


目  次

序にかえて

<論考篇>

 一、『法華訳和尋跡抄』所引の仮名書き法華経について
   ―「妙一本群」の祖本を求めて― …………………………    3
 
 二、「瑞光寺本」について ………………………………………   19

 三、「月ガ瀬本(付)矢代本」について …………………………   41

 四、「法華経切れ」に見る仮名書き法華経  …………………   63
   ―「翻訳法華経」の存在―

 五、「絵巻」のなかの仮名書き法華経 …………………………   93
   ―「簡約仮名書き法華経」の存在―

 六、仮名書き法華経に見る謙譲の「給フ」の消長 …………  111


<資料篇>

 〔比較、考察〕

一、瑞光寺本 (妙一本との比較、考察資料) ……………………  126
  如来寿量品 第十六 …………………………………………  126
  分別功徳品 第十七 …………………………………………  138
  随喜功徳品 第十八 …………………………………………  150
  法師功徳品 第十九 …………………………………………  157
  常不軽菩薩品 第二十 ………………………………………  166
  如来神力品 第二十一 ………………………………………  176
  嘱累品 第二十二 ……………………………………………  176
  薬王菩薩本事品 第二十三 …………………………………  184
  妙音菩薩品 第二十二-四 ……………………………………  200

二、月ガ瀬本 (妙一本との比較、考察資料) ……………………  210
  譬喩品 第三 (三車火宅の譬え) ……………………………  210
  信解品 第四 (長者窮子の譬え) ……………………………  223
  薬草喩品 第五 (三草二木の喩) ……………………………  230
  化城喩品 第七 (化城宝処の喩) ……………………………  234
  五百弟子授記品 第八 (衣裏繋珠の譬え) …………………  244
  安楽行品 第十四 (髷中珠の譬え) …………………………  249
  如来寿量品 第十六 (良医の譬え) …………………………  253


 〔翻字〕

一、瑞光寺本 …………………………………………………………  264

二、月ガ瀬本 …………………………………………………………  314


あとがき ………………………………………………………………  401



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