辻占都々逸研究

菊池 真一

一 「辻占都々逸」とは何か

 辻占については、青木元氏の御研究がある。(注一)本来は、辻に立って,通りがかりの人の言葉を聞き、それによって吉凶等を判断する占いであるが、江戸時代後期には、小さな紙片に占い言葉を書いたものを「辻占」と称して売ったり、それを菓子類に入れて「辻占菓子」として売ったりすることが流行った。その占い言葉として都々逸を用いたり、占い言葉と都々逸とを併載したりしたものが「辻占都々逸」である。本稿では、辻占紙片に書かれたような短い占い文句を「辻占文句」と称することとする。


二 「辻占都々逸」各本の分類

 今般、辻占都々逸本九十一点五十三種を調査した。それを形態的に、次のように分類してみた。
 まず、歌占系統のもの、おみくじ系統のもの、易占系統のもの、の三種に分類した。さらにそれぞれについて、辻占文句の有無、漢詩句の有無、算木図の有無等によって細かく分類した。
 その結果は次の通りである。

A歌占系統
 T辻占文句のないもの
 U辻占文句のあるもの
  1番号のないもの
  2番号を付すもの
   @詩入都々逸
   A単なる都々逸

Bおみくじ系統
 T項目見出しで吉凶を示すもの
  1五言漢詩句を添えるもの
  2五言漢詩句を添えないもの
 U項目見出しで吉凶を示さないもの

C易占系統
 T算木図のあるもの
  1辻占文句のないもの
  2辻占文句のあるもの
   @卦を漢字で示すもの
   A卦を平仮名で示すもの
 U白丸黒丸図のあるもの
  1辻占文句も判断文もないもの
  2辻占文句のあるもの
  3判断文のあるもの


これらについて、具体的にどの本がどの種に属するのかを、次に示す。

A歌占系統
 T辻占文句のないもの
    『辻うらよしこの集』(大阪府立中之島図書館。228/186)
      同じもの『辻うらよしこの集』(菊池真一蔵本)
 U辻占文句のあるもの
  1番号のないもの
   @詩入都々逸
    『唐詩入げいしや都々逸』(玉川大学図書館。W768.5/ト)
   A単なる都々逸
    『は唄恋の辻うら』(上田市立図書館花月文庫。音楽384)
            (序題は『??辻占選餅初編』か?)
    『つぢうら相撲ぢん句』(筑波大学図書館。911.66Me25-35)
  2番号を付すもの(いずれも吾妻雄兎子作)
   @詩入都々逸
    『たゝみさん辻うら詩入都々逸』(蓬左文庫。尾19-191)
      同じもの『たたみざんつじうら詩いりどゝ逸』(玉川大学図書館。W768.5/タ)
          『たゝみさん辻うら詩入都々逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/74)
    『畳さん辻うら詩入どゝいつ 二編』(関西大学図書館。911.65/K7/28)
      同じもの『畳ざん辻うら詩入どゝいつ』(東北大学図書館狩野文庫。5-17210-1)
          『畳ざん辻うら詩入どゝいつ』(都立中央図書館東京誌料。5644/106)
    『たゝみさん辻占詩入都々いつ』(三編。菊池真一蔵本)
    『つぢ占どゝ逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/47)
      同じもの『たゝみざん辻うら詩入都々逸』(玉川大学図書館。W768.5/シ)
   A単なる都々逸
    『たゝみざん辻うら都々いつ』(筑波大学図書館。911.66Me25-46)

Bおみくじ系統
 T項目見出しで吉凶を示すもの
  1五言漢詩句を添えるもの
    『こゝろいき辻うら都々いつ』(東洋大学図書館。768.59/Y89/17)
      同じもの『こゝろいき辻うら都々いつ』(国立劇場。H8-4/54)
    『〔新撰吉凶〕辻占都々逸稽古本 上の巻』(東洋大学図書館。768.59/Y89/71)
    『〔新撰吉凶〕辻占都々逸稽古本 下の巻』(菊池真一蔵)
    『辻占都々逸御鬮箱』(外題は『げいしやとゞいつ』関西大学図書館。和装/911.655/T1/1)
    『とゝいつ』(弘前市立図書館岩見文庫。W911.9/7)
  2五言漢詩句を添えないもの
    『百籤抄(みくじ)都々一』(三康図書館。5/2609)
    『よしこの辻占図会 上之巻』(東洋大学図書館。768.59/Y89/162)
 U項目見出しで吉凶を示さないもの
    『大しんはん流行たゝみざんよしこの』(菊池真一蔵)

C易占系統
 T算木図のあるもの
  1辻占文句のないもの(判断文あり)
    『辻占都々一』(東北大学図書館狩野文庫。5/17215/1)
      同じもの『辻うらどゝ一』(都立中央図書館東京誌料。5644/130)
    『辻うら都々逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/69)
      同じもの『辻うら都々一図会』(『いろはかな冠どゝ逸』と合本。国学院高藤田小林。161/1-231)
          『辻うら都々一図会』(『いろはかなかむりどゝいつ』と合本。上田市立図花月文庫。音楽386)
    『辻うら浮世とゞ逸』(青木元氏蔵)
    『新文句都々一恋の辻占』(青木元氏蔵)
    『都々いつもんく一人りうらなひ』(外題は『どゝいつふしひとりうらなひ』。都立中央図書館東京誌料。5644-3)
      同じもの『都々いつもんく一人りうらなひ』(外題は『どゝいつつけ恋の辻うら』。都立中央図書館東京誌料。5644-4)
          『都々いつもんく一人りうらなひ』(外題は『どゝいつつけ恋の辻うら』。都立中央図書館東京誌料。5644-4ア)
    『〔辻占端唄〕とゞ一大よせ』(菊池真一蔵。2本あり)
    『辻占都々逸 乾の巻』(都立中央図書館東京誌料。5644/65)
      同じもの『辻占都々逸 乾の巻』(東洋大学図書館。768.59/Y89/23)
          『辻占都々逸 乾の巻』(菊池真一蔵。)
    『辻占都々逸 坤の巻』(都立中央図書館東京誌料。5644/65)
      同じもの『辻占都々逸 坤の巻』(東洋大学図書館。768.59/Y89/51)
    『辻うらどゝ一』(東北大学図書館狩野文庫。5/17214/1)
    『うらない開化新作どゞ一 上』(新城情報牧野。622/192)
    『〔開化〕辻筮都々一』(国会図書館。特44/179)
    『つじうら都ゞ逸』(国会図書館。特43/263)
    『つじうら都ゞ逸』(国会図書館。特44/159)
    『絵入都々逸辻占八卦』(活版印刷。国会図書館。特50/678)
    『たゝみざんつじ占詩入都々逸』(国会図書館。特44/180)
    『新板辻占どゝ逸』(関西大学。和装/911.655/O1/1)
    『〔端唄都々一〕八卦辻占大全』(国会図書館。特43/167)
      同じもの『うた占』(都立中央図書館東京誌料。5643/37)
  2辻占文句のあるもの
   @卦を漢字で示すもの
    『辻うら都々逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/34)
      同じもの『辻うら都々逸』(関西大学図書館。911.65/K7/21)
          『辻うら都々逸』(東洋大学図書館。768.59/Y89/42)
    『辻うら都々いつ』(弘前市立図書館岩見文庫。W911.9/13)
    『十二ケ月づくしつぢうらどゝいつ』(筑波大学図書館。911.66Me25-39)
      同じもの『十二ヶ月づくしつぢうらどゝいつ』(東洋大学図書館。768.59/Y89/40)
    『三十六歌仙占方どゝ逸』(蓬左文庫。尾19/187)
    『辻占どどいつ』(上田市立図書館。花月音楽380)
   A卦を平仮名で示すもの
    『辻うら浮世とゞ逸』(関西大学図書館。911.65/K7/37)
      同じもの『辻うら浮世とゞ逸』(弘前市立図書館岩見文庫。W911.9/11)
    『辻占うきよとゝいつ』(東北大学図書館狩野文庫。5/17213/1)
      同じもの『辻占うきよとゝいつ』(玉川大学図書館。W768.5/ツ)
          『辻占うきよとゝいつ』(関西大学図書館。和装/911.655/H6/1-4)
    『辻うら浮世とゞいつ』(東洋大学図書館。768.59/Y89/66)
      同じもの『つち占浮世どゝいつ』(弘前市立図書館岩見文庫。W911.9/12)
 U白丸黒丸図のあるもの
  1辻占文句も判断文もないもの
    『〔新文句〕辻占度独逸』(中之島図書館。228/172)
      同じもの『〔新文句〕辻占度独逸』(大阪大学図書館小野文庫。918.5/ONO/118)
          『辻うらどゞ逸』(関西大学図書館。H911.91/U3/1)
          『〔新文句〕辻占度独逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/12)
          『〔新文句〕辻占度独逸』(都立中央図書館東京誌料。5644/116)
          『辻うらどゞ逸』(上田市立図書館花月文庫。音楽351)
          『辻占度独逸』(上田市立図書館花月文庫。音楽387)
    『新文句辻うらとゝ一ツ』(関西大学図書館。911.65/K8/54)
    『哇部類二編』(「つぢうらの部」大阪府立中之島図書館。228/172)
    『心意気辻占都々一』(菊池真一蔵)
  2辻占文句のあるもの
    『心いき辻うらどゞいつ』(菊池真一蔵)
  3判断文のあるもの
    『恋の辻占独り判断』(関西大学図書館。911.65/K7/31)
      同じもの『恋の辻占独り判断』(都立中央図書館東京誌料。5644/120)
          『恋の辻占独り判断』(国文学研究資料館。二本。ハ1/40、ハ1/42)
          『恋の辻占独り判断』(菊池真一蔵)
    『都々一独うらなひ』(都立中央図書館東京誌料。5644/59)
    『銭占意気なよし此』(大阪府立中之島図書館。228/102)
      同じもの『銭占意気なよし此』(東洋大学図書館。768.59/Y89/60)
          『銭占意気なよし此』(蓬左文庫。尾19-179)
    『銭判断八卦好此』(筑波大学図書館。911.66/Me25-22)
      同じもの『銭判断八卦好此』(国会図書館。特43/280)
          『銭判断八卦好此』(菊池真一)
    『辻うら都々いつ』(東洋大学図書館。768.59/Y89/24)
      同じもの『辻うら都々いつ』(東洋大学図書館。768.59/Y89/78)
    『たゝみざん辻うら都々いつ』(国文学研究資料館。ナ1/17)


三 「辻占都々逸」諸本の詳細

 それぞれの系統について若干詳しく見てみる。
 「A歌占系統」は、辻占都々逸の原初形態と目されるものである。都々逸を並べるだけ、もしくは番号を付するだけ、せいぜい辻占文句を添えるだけで、他の占い的要素(おみくじ・駅占等)は見られない。
 A「T辻占文句のないもの」は、最も素朴な形式で、都々逸に番号を付しただけのものである。『辻うらよしこの集』(大阪府立中之島図書館。菊池真一)のみがこれに該当する。半丁に五首が原則で、見開きに一から十までの番号を打っている。占い方は「こよりのはしに一より十まで印をつけ其内壱本を引、本をひらきたとえば一とでるときは一、又は六とあれば六に引合見るべし」とある。序記は嘉永六年で、成立年代が明確なもののうち、最も古いものである。

 A「U辻占文句のあるもの」には、「1番号のないもの」と「2番号を付すもの」とがある。
「辻占文句」とは、例えば「○かんせいだねへ」や「○うか/\してゐらアね」などのように、都々逸に呼応した短い文句で茶々を入れるものが一般的であるが、都々逸に呼応しないもの、真面目に占い言葉を述べるものなどもある。『唐詩入げいしや都々逸』(玉川大学図書館)の序文の末尾には、「○まへの小がきは手あたりしだいのちよいとつぢうら」と小書きがある。これが「辻占文句」の説明である。
 A「1番号のないもの」には、『唐詩入げいしや都々逸』(玉川大学図書館)『は唄恋の辻うら』(上田市立図書館花月文庫)『つぢうら相撲ぢん句』(筑波大学図書館)の三点がある。一番目は唐詩入都々逸であり、後二者は単なる都々逸である。
 『唐詩入げいしや都々逸』(玉川大学図書館)のタイトルは中味と即応していない。『唐詩入辻占都々逸』とでもあるべきものである。
 『は唄恋の辻うら』(上田市立図書館花月文庫)の序題は「??辻占選餅初編序」なっているが、その序文は次のようなものである。
  前に南駅の田舎翁が、手製の風味いちじるき、大黒煎餅の点心(おちやうけ)は、普く通家の口に叶ふて、老舗の株に数編を重下戸も上戸も気請よく、売(うれ)るといふを的当(きつかけ)に畑は同辻占選餅、待人かけし君達はじめ、めせや辻占つちうらや辻占
 ここには、新吉原の辻占煎餅売りの図が掲げられているが、この序文から、辻占煎餅は品川遊廓で売りはじめられた大黒煎餅にヒントを得たものであることが知られる。
 『つぢうら相撲ぢん句』(筑波大学図書館)の序文の前半は次のようなものである。
  相撲じん句と都々一とは同物なり、然れどもじん句の方は破連を旨とす、依りてじん句都々一兼帯の、間の文句を撰み、どちらも外さぬ辻占さへ句中に加ふ、
この本の序文の後には、占い方が記載されている。
  このつぢうらの見やうは心に思ふねがひごとのそのよしあしを告る人と右左をさだめ置目をとぢ手にあたるところをひらき右とさだめたらば右にあるうたと小書左とさだめたらば左にあるうたち小書にてそのよしあしを知る也
 この占い方はA「1番号のないもの」に共通するものである。

 A「2番号を付すもの」は、全て吾妻雄兎子の作である。
 「@詩入都々逸」は次の三種がある。『たゝみさん辻うら詩入都々逸』(蓬左文庫。玉川大学図書館。都立中央図書館東京誌料)『畳さん辻うら詩入どゝいつ 二編』(関西大学図書館。東北大学図書館狩野文庫。都立中央図書館東京誌料)『つぢ占どゝ逸』(都立中央図書館東京誌料。『たゝみざん辻うら詩入都々逸』玉川大学図書館)である。
 「A単なる都々逸」は『たゝみざん辻うら都々いつ』(筑波大学図書館)のみである。
 これらは同じ作者であるから、同じような占い方が記されている一例を挙げる。『たゝみさん辻うら詩入都々逸』に記載された「○たゝみざんつぢうらの見やう」は次のようなものである。
  このうらないの見やうはたゝみの上へかんざしにてもなにゝてもなげいだしそのなげたるものゝさきのかたのあたりたるすぢよりひとすぢ二タすぢとかぞへ十にてとまれば第十又廿にてとまれば第二十のどゝ一とわきの小がきのもんくをもつてそのよしあしをうらないしるべきものなり
  他本も序文の内容は異なっても、この占い方についてはほとんど同じである。この「小書」というのは辻占文句を指している。


 「Bおみくじ系統」は、都々逸におみくじの要素を付加したものである。ほとんどのものが「T項目見出しで吉凶を示すもの」であるが、おみくじ的な書き方をしながら、吉凶を示さない『大しんはん流行たゝみざんよしこの』(菊池真一蔵)のようなものもある。
 B「T項目見出しで吉凶を示すもの」には、「1五言漢詩句を添えるもの」と「2五言漢詩句を添えないもの」とがあり、「1五言漢詩句を添えるもの」には、次の五種がある。
    『こゝろいき辻うら都々いつ』(東洋大学図書館。国立劇場)
    『〔新撰吉凶〕辻占都々逸稽古本 上の巻』(東洋大学図書館)
    『〔新撰吉凶〕辻占都々逸稽古本 下の巻』(菊池真一蔵)
    『辻占都々逸御鬮箱』(関西大学図書館)
    『とゝいつ』(弘前市立図書館岩見文庫)
この五言漢詩句は、元三大師御籤本に掲載された五言四句の漢詩の中の一句を採ったもので、諸本共通している。五言漢詩句を添えるのみで、判断文等一切の説明を載せていないのが特徴である。
 『こゝろいき辻うら都々いつ』(東洋大学図書館。国立劇場)の序文は次のようなものである。
  何事によらず思ふ事有もの易によつて善悪を占ひ御鬮を取て吉凶を定むるは世の常の事になんされど仮初の事などには問ふべき事にはあらざるべし只其品と時により思ふ先の心いき首尾の吉凶待人には昔は歌占今は辻占煎餅最中蛤は合うといふなる義に叶へど不来婦(こんぶ)といふは禁句ゆへ是は気をえへとぢふみの本まこと嘘の虚々実々御鬮によそへて歌占と辻うらかたをかたどりしを又唄占と翻訳して其よしあしをつげの櫛あらひ髪のさらりとわかる都々いつによる文句の判断其身/\ののぞみにとりいづれよしなに御すいもじと花をしたふ鶯のうた中間なる 多川路暁がいふ
これによると、辻占煎餅の外に、辻占最中、辻占蛤、辻占昆布のあったことが知られる。
 「2五言漢詩句を添えないもの」は次の二種である。
    『百籤抄(みくじ)都々一』(三康図書館)
    『よしこの辻占図会 上之巻』(東洋大学図書館)
後者は都々逸の外には、番号と吉凶を記すのみであるが、前者には詳しい判断文・解説文が載っている。後者は極小本であるが、見返しには辻占煎餅の図を掲げ、一丁ウ・二丁オの見開きには「歌占図」を掲げている。それは、神主らしき人が八枚の短冊の下がった弓を持っているものである。辻占都々逸の起源が歌占と信じられていたことが分かる。


 辻占都々逸本には、「C易占系統」のものが最も多い。
 その中でも最も多いのが、「T算木図のあるもの」で、六十四卦を記し、判断文を掲げるものが殆どである。「1辻占文句のないもの」がそれである。次の十七種を数える。
    『辻占都々一』(東北大学図書館狩野文庫。都立中央図書館東京誌料)
    『辻うら都々逸』(都立中央図書館東京誌料。国学院高藤田小林。上田市立図花月文庫)
    『辻うら浮世とゞ逸』(青木元氏蔵)
    『新文句都々一恋の辻占』(青木元氏蔵)
    『都々いつもんく一人りうらなひ』(都立中央図書館東京誌料三本)
    『〔辻占端唄〕とゞ一大よせ』(菊池真一蔵二本。)
    『辻占都々逸 乾の巻』(都立中央図書館東京誌料。東洋大学図書館。菊池真一蔵)
    『辻占都々逸 坤の巻』(都立中央図書館東京誌料。東洋大学図書館)
    『辻うらどゝ一』(東北大学図書館狩野文庫)
    『うらない開化新作どゞ一 上』(新城情報牧野)
    『〔開化〕辻筮都々一』(国会図書館)
    『つじうら都ゞ逸』(国会図書館)
    『つじうら都ゞ逸』(国会図書館)
    『絵入都々逸辻占八卦』(国会図書館)
    『たゝみざんつじ占詩入都々逸』(国会図書館)
    『新板辻占どゝ逸』(関西大学)
    『〔端唄都々一〕八卦辻占大全』(国会図書館。都立中央図書館東京誌料)
この中で、『都々いつもんく一人りうらなひ』の序文には、次のようにある。
  六の銭を投て善悪を見るに男女の逢中を悟り待人の時をうらなひ願望を唱歌になしては誰もあざけり玉ふなれど仕様は野賎にはありふれた新井白蛾が六十四卦判の言葉をそのまゝに心つくし海のはて狼すさむ山野はしらじ先流行のとゞく地には都々逸しらぬ人もなし又うらなひも同じこと卜仕やうをくわしく記さぬ也
これによれば、新井白蛾の書物を参考にしたらしい。『易学小筌』と比較してみると、一番最初の「乾為天」の項目については、『易学小筌』と『都々いつもんく一人りうらなひ』の記述はかなり一致するが、その他の項目については、かなり相違点が目立つ。ある程度参考にはしたものの、すべて『易学小筌』に則っているという訳ではなさそうである。

 C「T算木図のあるもの」の中には、算木図・六十四卦を掲げながらも、判断文を記さず、辻占文句を示すに止まっているものがある、「2辻占文句のあるもの」がそれである。卦を漢字で示すものと平仮名で示すものとがあるが、形式的には全く同じである。
 「@卦を漢字で示すもの」には、次の五種がある。
    『辻うら都々逸』(都立中央図書館東京誌料。関西大学図書館。東洋大学図書館)
    『辻うら都々いつ』(弘前市立図書館岩見文庫。W911.9/13)
    『十二ケ月づくしつぢうらどゝいつ』(筑波大学図書館。東洋大学図書館)
    『三十六歌仙占方どゝ逸』(蓬左文庫)
    『辻占どどいつ』(上田市立図書館)
 「A卦を平仮名で示すもの」には、次の三種がある。
    『辻うら浮世とゞ逸』(関西大学図書館。弘前市立図書館岩見文庫)
    『辻占うきよとゝいつ』(東北大学図書館狩野文庫。玉川大学図書館。関西大学図書館)
    『辻うら浮世とゞいつ』(東洋大学図書館。弘前市立図書館岩見文庫)

 「C易占系統」の中でも、算木図の代りに白丸黒丸又は銭形図を記すものも多い。「U白丸黒丸図のあるもの」は三種類に分けられる。
 「1辻占文句も判断文もないもの」には、次の四種がある。
    『〔新文句〕辻占度独逸』(中之島図書館。大阪大学図書館小野文庫。関西大学図書館。都立中央図書館東京誌料二本。上田市立図書館花月文庫二本)
    『新文句辻うらとゝ一ツ』(関西大学図書館)
    『哇部類二編』(大阪府立中之島図書館)
    『心意気辻占都々一』(菊池真一)
 この中で、『〔新文句〕辻占度独逸』の序文の最後には、
  安政二巳年の菊月
   擲銭占(ぜにうら)度独逸新案の元祖
      金龍山人谷峩我誌
とある。これを信ずれば、六枚の銭を投げる占い方は、梅暮里谷峩の発案だということになる。
 この本の序文の次に記された「凡例」に占い方の詳細が記述されている。
  此占の見やうは「思ふことひとつかなへば又二ツ三ツ四ツいつも六ツのうらなひ」このうたを三べんとなへ四文銭を六ツ両手に入れてよくふりたてつゝ何事によらず思ふことを心に念じて件の銭を投ならべ見るべし形を白とし波を黒とし本文の陰陽にひき合せて文句の善悪によりおもふことの善悪を知るなり善き唄に当らば何ごともいそぎてよし成就するなり悪き哇ならば何ごともひかへめにするがよし多くは望みごと協はず待人来らず仮令ば男女とも色に成たいと思ふ時善き文句ならば平ツたくうちつけにいひ寄べし悪き文句ならば媒を●むとも詮なしその他これに准ず亦六十四卦の変易あり●は後編に著すさて鳥目をむさくるしとおぼす方は碁の陽石を六つ方面黒漆にて塗らせ用ゐ給ふべし

 C「U白丸黒丸図のあるもの」で「2辻占文句のあるもの」は、次の一種のみである。
    『心いき辻うらどゞいつ』(菊池真一蔵)

 C「U白丸黒丸図のあるもの」で「3判断文のあるもの」は、次の六種である。
    『恋の辻占独り判断』(関西大学図書館。都立中央図書館東京誌料。国文学研究資料館二種。菊池真一)
    『都々一独うらなひ』(都立中央図書館東京誌料)
    『銭占意気なよし此』(大阪府立中之島図書館。東洋大学図書館。蓬左文庫)
    『銭判断八卦好此』(筑波大学図書館。国会図書館。菊池真一)
    『辻うら都々いつ』(東洋大学図書館二種)
    『たゝみざん辻うら都々いつ』(国文学研究資料館)


四 占い方の様々

 占い方を指示しているものがある。その記述を整理すると、次のようになる。

 イ.本を開いて、出た所を見る。
  <AU1A『つぢうら相撲ぢん句』>
  <BT1『こゝろいき辻うら都々いつ』『〔新撰吉凶〕辻占都々逸稽古本』『辻占都々逸御鬮箱』>
 ロ.こより法(一から十の番号をつけた紙縒を用意し、それを引く。)
  <AT『辻うらよしこの集』>
 ハ.畳算(簪等を畳の上に投げ、目の数を数える。)
  <AU2@『たゝみさん辻うら詩入都々逸』『つぢ占どゝ逸』『畳さん辻うら詩入どゝいつ』>
  <AU2A『たゝみざん辻うら都々いつ』>
 ニ.目をつぶって、かんざし又は小楊枝を目次の算木図の上に落とす。
  <CT1『辻うら浮世とゞ逸』『〔開化〕辻筮都々一』>
  <CT2@『辻うら都々逸』『十二ケ月づくしつぢうらどゝいつ』『三十六歌仙占方どゝ逸』>
  <CT2A『辻うら浮世とゞ逸』『辻占うきよとゝいつ』『辻うら浮世とゞいつ』>
 ホ.算木又は銭六枚で卦を出す。
  <CT1『〔端唄都々一〕八卦辻占大全』>
 ヘ.六枚の銭を投げ、表裏を見る。
  <CT1『新板辻占どゝ逸』『辻うら都々逸』『絵入都々逸辻占八卦』『新板辻占どゝ逸』>
  <CU1『〔新文句〕辻占度独逸』『心意気辻占都々一』『新文句辻うらとゝ一ツ』>
  <CU2『心いき辻うらどゞいつ』>
  <CU3『恋の辻占独り判断』>
 ト.三本の算木を二度に分けて投げる。
  <CT1『辻うらどゝ一』>


五 菊池所蔵本
 菊池所蔵の辻占都々逸本は、11点10種になる。これらは、先の分類の大項目ABCは勿論のこと、中項目AT・AU・BT・BU・CT・CUの全てに及ぶ。従って、菊池所蔵本を見ることにより、辻占都々逸本の全貌のおおよそが把握できる。以下、菊池所蔵本の全てをまとめて翻刻紹介することとする。

A歌占系統
 T辻占文句のないもの
『辻うらよし此集』(菊池真一蔵本。嘉永六年。川辺屋音次郎・石川屋治兵衛版)

辻うら占ひやうの伝
辻うら占なはんと思ふとき先気をしづめ心にうたがひをおこさずしてとるべし引やうは  如此こよりのはしに一より十まで印をつけ其内壱本を引本をひらきたとへば一とでるときは一又は六とあれば六に引合見るべし」(見返し)

それ歌占は二神天の巷にさよの手枕はじめにて其古事はしらまゆみゆひ尽されぬ言の葉も逢ふ恋まつこひ忍恋こひもうすひもあるならひふかき色には蘓命(そめいろ)路のやま/\積る千早振紙をひねりて取鬮も逢ふて嬉しのますかゞみちらして見たき」(序オ)
貞操(わがこゝろ)まよひをとらねばこれもよし此道ばかり心底にかけまく神を力ぐさやがて謹上幸ひともとめ給ふことなればとふかみ笑み玉へとしか云ふ
 嘉永六林鐘   朝辛廼宮 鍋酒誌」(序ウ)
一 桜々と浮れて居れどつらや勤に夜をふかす
二 咲て居れども浮気な花かとかく香の散庭の梅
三 風に狂(くるひ)の柳は本にとけつもつれつ気がもめる
四 たれに人目がある桜ばな笑顔かくせし朝がすみ
五 いなせが散行桜は本にとんだ心の置どころ」(壱オ)
一 人目兼たるへだての垣をつなぎ止たるふぢの花
二 散は元より兼ての承知仇に咲した花じやもの
三 一夜情にやどりし蝶もともにぬれたる花のつゆ
四 本にいろ/\世けんのうはさそしり咲するおそざくら
五 なんぼ日かげの花じやといふてそれさ胡てうにすいがない」(壱ウ)
六 散のちらんのみな口々に情しらずがいふさくら
七 私しばかりの小蝶でさへもうつす心の深み草
八 よひに曇りし空とは本に雨にやつれの朝ざくら
九 今宵しゆびして忍で居れど晴て合れぬおぼろ月」(二オ)
一 いつか此身もはや秋風とぬしをかへして跡でふく
二 長きゑにしと思ひの中も切てほいなひ凧の糸
三 糸見切れてかうなるからはやぶれかぶれのかゝり凧
四 いつか身上りする身はほんに空に心の昇り凧
五 宵のくもりに笑顔の梅もふけて辛苦のつもる雪」(二ウ)
六 ほんに思はにや夢にも見まい覚てしんきな事ばかり
七 逢ふた思の咄しにつけて聞もしんきな明のかね
八 まてど便のない此ごろをにくや空引かねの声
九 心しらずか此ふける夜を月に浮るゝやぼがらす
十 なぜか添はれぬ此身はほんに結び違ひかゑんの神」(三オ)
一 りん気しながら書たるふみも筆に根をもつ恨事
二 水の行末と此身はほんにいつかはてしがないわいナア
三 思ひこんだる此身のそらを聞けばぬしあるあなたをば
四 嬉しもつれもとけそゝくれて千話も苦ぜつの種となる」(三ウ)
六 つもる思ひにはてしがなふていつかとけないふじの雪
七 はれて添はれぬ恋じの闇に昇りつめたる身の苦労
八 本に一夜がつい重なりていつかおもひのたねとなる
九 真事つくしてとけ逢ふ中も嬉し仮寝のたびまくら
十 浅イ心でついはまりこみ本に深いは恋のじやう」(四オ)
一 心ならぬまた取だしてしがむ反古のぬれもんく
二 本に夜毎にわはるはまくらいつか替らぬ我が思ひ
三 ほれた私じやどふなとさんせなぞと手くだで乗かける
四 心尽しも此身の仇か本にほいない里はなれ
五 しやんなげ首引さく胸のかんにん袋がぬはしたい」(四ウ)
六 やがてはれたら思ひの侭としばし此身の軒の月
七 かよふ恋じの夜道はほんに人目かねたる鳥おどし
八 曇る思ひの空さへ今は晴て世間をわたり鳥
九 しばし別れも苦になるつらさ思ひ啼する小夜千鳥
十 かよふ伝手なき闇路に迷ひ心とりつくむら千鳥」(五オ)
一 恋にや苦労のしのびの頭巾ほんにうかつにやぬかりやせぬ
二 定めないかやツイもや/\と晴ぬいろもつむらしぐれ
三 深くつもりし思ひの胸もとける時節を松のゆき
四 宵につもりし柳の雪も今朝はとけたるふりもない
五 背中そむけてすげなくぬしは空に心を置ごたつ」(五ウ)
六 ほんに別れがつらいといふて名残夜明をかへる雁
七 秋の千草も夜の間のつゆにぬれて嬉しき色をもつ
八 浮気ながらも世けんを晴て味な色もつ女郎(おみな)ばな
九 思ひ定めて手折し枝も人目兼たる道のはな
十 迷ひこんだる思ひの三千代乱れ咲する野べのきく」(六オ)
一 本に色づきやゆだんのならぬじぶ柿にもむしがつく
二 ヱヽもにくひよ今宵の月よ晴たばかりですいがない
三 すまぬ心と今宵の月はしばし人目の雲がくれ
四 同じ添寝の袖すり逢て友にぬれたる萩のつゆ」(六ウ)
六 逢ふて咄しも聞ない内にゑぐひ気じやとはどふよくな
七 つゝむつらさが此身にあまりやつれましたよ此とをり
八 ぬしの手切に此身はほんにふかく思ひもうすくなる
九 出たり這入たりする身はほんに外にしやんも有間筆
十 袖を引とめ羽織をかくし逢ふて此まゝかへさりよか」(七オ)
一 愚知な五色の色あらはれてしやぼん玉ふくふくれづら
二 つらや此身は山ほとゝぎす啼にや此夜が明されぬ
三 なんぼすきとてどろたの中へはまりよごれるきりものが
四 そらにいけんを聞身はほんに恋にやうつゝか目がさめぬ
五 むだな手をさすつのりししやくも外に押人(をして)が有わいナア」(七ウ)
六 色けはなれた此身はほんにやつれ姿のかれ柳
七 合ぬ苦ぜつにへだてが出来てはなれ/\に寝る今宵
八 勤する身にじやうずが出来て客にはらうり花もうり
九 やつれはてたるこの身はほんに思ひ入江に枯柳
十 思ふ当りに人目がなくば私しやりん気がして見たい」(八オ)
一 傍(あた)り見廻し人目をしのび家根でしゆびする千話の猫
二 晴ぬ思ひについはう/\と落る涙のつゆしぐれ
三 月夜からすと此身(ママ)本に思はず一声啼寝入り
四 広い世見にせまいは住居今は気侭の膳(さし)むかひ
五 きゆる思ひにはて気がもめるなぜにもへ杭火が付ぬ」(八ウ)
六 人目なけねばどうかうもりとふかくおもひに更る月
七 はれた色どり今あらはしてたてゝ見せましよ虹の帯
八 あつさまぎれにりん気と共にたゝくうちはの拍子ぬけ
九 宵の曇りに隠れた月が人の寝てからさへて出る
十 待身つらさのうつゝのゆめに仇にして聞明の鐘」(九オ)
一 ほんに勤のつまともならばにくや男はたゞ一人り
二 我身わすれてくるふもむりか恋に気が気じやないものを
三 切てからんで柴垣にくやへだてする木が庭にたつ
四 知らぬおもひの種こそまして昼夜思ひの仇となる
五 明ぬ岩戸が其侭あらば今朝の苦労はせぬものに」(九ウ)
六 あついこと葉につい乗せかけて先か真事か石清水
八 露に添ふとははかないものをみれんらしくも月かすむ
九 君をしたふのまつむしならでいまはそれとも草の中
十 露の道の辺踏分かねてひよんなこゝろのおきどころ」(十オ)
一 おだてさんすなそりや門違ひこれがじつならかくしやせぬ
二 煙くらべの吸付たばこぬしは気を引事かいな
三 つゆにうつろふかれのゝはらに今は侘しき年の暮
四 へだてられてか見るさへいとゞ目た(?)きかすまる袖の月
五 今はせけんもはれたる月と解て見せます雲の帯」(十ウ)
六 空なおもひの月とはほんにしのぶ闇路もあるものを
七 かよふ伝手なき心の関をしらで住行須磨の月
八 末のちからの水すじあつてやせた根をもつ九十九草」(十一オ)
一 へだてある身のしのびの色は梅も闇路の香をしたふ
二 月もこゝろ曇をおくしなぜか明りがたてにくひ
三 いとしかわいが此身にあまり寝るもねられずにくふなる
四 逢ふた其日がおもひの種よ寝ても覚てもうつゝにも
五 いまの団(うちは)に鏡をつけるうつりやすひといふ事か」(十一ウ)
六 うつゝ笑顔にふとおこされて顔もあかつくまくらあて
七 もつれごゝろの悪性ものと風にすねたる糸柳
八 主のおもひも晴れたる今宵水に真事をてらす月
九 草の下水つゝむにあまり痩て本意なく外にもる
十 当時流行の杓子でさへもいつか世に出て飯(まゝ)に添ふ」(十二オ)
一 しらぬ水鶏は戸をたゝかれてふいと待身が明にたつ
二 苦絶しらけて寝る夜の床にあらぬおもひの夜着の中
三 ないて嘘ある世の中じやとてわらてまことがはなりよか
四 忍ぶ苦労にあかしを立てとんだ蛍のすいがない
五 深き契りの千代まつむしも秋の名残に声たゝぬ」(十二ウ)
六 つとめする身じや盃やうけよがいやみさんすはうけにくひ
七 うつり易さの世をしのびして露も真事の草におく
八 水に苦労をする身はほんに深くおもひにつくもぐさ
九 仇にそめてもこふなるからはもとふしらはにやなりやせまい
十 同じ月でも三夜はあだよ宵にてらして見たばかり」(十三オ)
一 たとへあだでも始の事よちれどうれしき瓜の花
二 ぬれたおもひを今朝あらはして恋にうつゝの目なし草
三 恋の浅瀬か水枯はてゝ深い中でもわけられる
四 色をもつ身の朝がほさへも露のひぬ間はたゝしばし
五 にくや二人りの相合傘もくちにせりふの恋の実」(十三ウ)
六 解てうれしき帯こそいまはあだに結びし夢の中
七 あだな三すじによる身はほんにむねの調子が定まらぬ
八 咲かせられてのつい仮初が風のうはきに散さくら
九 袖をぬらした相合傘もすゑはらんちうなるわいな
十 思ひがけなき此身の関にいまは流もしのびみづ」(十四オ)
一 浪にたゞよふ月かげさへもゆられながらに添とげる
二 こぬに時さへ聞くたびれておもひやりさへ夢に見る
三 松により添ふ葉ざくらさへもともに青々色かさぬ
四 たまに逢ふ夜の此みじかさをこゝろしらずのあけがらす
五 時節おくれて世にでる花をかへり咲とはどうよくな」(十四ウ)
六 鳥の音づれすまして聞ににくや羽風がうわきふく
七 すぐなこゝろのみすやの針も主しの持やうで横になる
八 しげる中からたま/\見せて苦労する葉が色に出る
九 おもひ切れとや夕部の雨のはれ間しらぬ我おもひ
十 ほんにわたしは雨夜の星よどちらこちらの隔なく」(十五オ)
六 しばし待間もこゝろがせける逢ふでおそなりやぜひがない
七 さそふ嵐にみだれもしよが花も霞にかゝるもの
八 深くかくせど若葉にまじるたれがさかせた残り花
九 文のたよりについほだされて恋によるべのつてが出来」(十五ウ)
草紙物板行おろし処
  大阪心斎橋淡路町北へ入
     川辺屋音次郎
  同平野町
     石川屋治兵衛」(奥付)


A歌占系統
 U辻占文句のあるもの
  2番号を付すもの
   @詩入都々逸
 『たゝみざん辻占詩入都々いつ』(三編。菊池真一蔵本明治初期刊か)

たゝみさん辻占詩入都々いつ」(表紙)
吾妻をと子撰
おう亭ゑがく」(見返し)
都々逸へ詩(からうた)を雑へ唄ふ事行はれ窓行(ぞめき)の通客が美音夜はさらに昼もまた街衢(ちまた)の辻に喧(かまびす)し故にその唄ひ歩行(あるく)詩入とゞ逸の文句を直に辻占の種となし、此書の第三編と做し先序文をヲヤ/\さうです歟
     吾妻雄兎子述
   ○たゝみざんつぢうらの見やう
このうらないのみやうはたゝみの上へかんざしにしてもなにゝてもなげいだしそのなげたるものゝ先のかたのあたりたるすぢより一トすぢ二たすぢとかぞへ十にてとまれば第十又廿にてとまれば第二十のどゝ一とわきの小がきのもんくをもつてそのよしあしをうらなへばいかなるむづかしきことゝいへどもあたらずといふことなしゆめ/\うたがふべからず」(一オ)
第一 ○あんたいなものサ
風にたなびくにしきのみはた〔英雄旗下幾英雄野戦攻城敢道功〕じつにいさましみ代はじめ」(一ウ)
第二 ○いまにいゝひよりになるヨ
しめりがちだよわたしの袖は〔黄梅時節家々雨青草池塘処々蛙〕ないてくらすをみえらしく」(二オ)
第三 ○うかれすぎちやアわるいと
ふんどしよ売ても一合かひな〔春宵一刻価千金花有清香月有陰〕これじや飲ずにや居られない」(二ウ)
第四 ○ちつとはさはりのあるものサ
なみの音聞がいやさに山家のすま居〔独木為橋過小村幾竿修竹護柴門〕それさへやつぱりまつのこゑ」(三オ)
第五 ○このせつのくせだアね
かねは上野かまたあさくさか〔山回緑柳常含雨天為紅桃不放霞〕今日もあさから薄ぐもり」(三ウ)
第六 ○もうちつとのしんぼうサ
まつは憂いとはけふ日のこの身〔傷心欲問前朝事唯有江流去不回〕どこへふけたかうちの人」(四オ)
第七 ○きついうちこみやうだねへ
貴身とふたりで世帯(しよたい)をもてば〔編茅為屋竹為椽屋上青山屋下泉〕どんなすま居も苦にはせぬ」(四ウ)
第八 ○むかしかたぎがよいとサ
たとへもゝとせあはづに居ても〔心如金石志似松●〕みさをのかた意地たてとほす」(五オ)
第九 ○まことにあんしんだヨ
あんじるやさきへ便りときいて〔一接家書意便歓外封先已〕すこしおち着むなさはぎ」(五ウ)
第十 ○くよ/\おしでないとサ
つのる恋路をやまひにかづけ〔約臂銀環寛一寸逢人猶道不相思〕しらぬふりして居るつらさ」(六オ)
第十一 ○ぬぐのはこれからおよしなさいよ
酒はさめるし夜は明かゝり〔鶏声茅店月人跡板橋霜〕ほねへ寒さがしみとほる」(六ウ)


Bおみくじ系統
 T項目見出しで吉凶を示すもの
  1五言漢詩句を添えるもの
『新撰善悪 辻うら都々一けいこ本 下の巻』(菊池真一蔵。多川里暁撰。明治十二年九月。太田屋板。)

   辻うら都度逸序
何事によらず思ふこと有もの易によつて善悪を占ひ御鬮をとつて吉凶を定るは世の常のことになんされど仮初の事などには問ふべき事にはあらざるべし只其品と時により思ふ先の心いき首尾の吉凶待人には昔は歌占今は辻占煎餅最中蛤は合ふといふなる義に叶へど不来婦といふは禁句故是は気をかへとち文の本まこと嘘の虚々実々御鬮によそへて歌占と辻占かたをかたとりて其吉凶をつげの櫛あらひ髪のさらりとわかる都々一による文句の判断その身/\の望もとり何れ宜なに御すいもじと多川の里暁述るになん
此見ようは思ふ事を心に念じ右左りを定め信をとりて手に当る所をひらきみてさだめば本の右の方よき唄にあらば思ふ事すみやかに叶ふなりあしき唄ならば急には叶ひがたしと知るべし余は是をおして知り給へかし
○先の心いき  ○まち人
○ねがひ望み  ○身の上
○当時の事   ○行末の事
  已上
五十三吉    久困漸能安
くらひいひわけはれたときいてすこしあんどの明りさす
五十四凶    月触暗長空
しのぶ夜みちはくらきがたよりはれちやあはれぬ中ぢやもの
五十五吉    華発再重栄
花もにをいももうちはてゝ今はみとなる夏の梅
五十六末小吉  生涯喜復憂
今はたがひにまことゝまことしよ手はうは気が小だのしみ
五十七吉    前津逢浪静
風にもまれてたゞよひながらきしへつくかよあま小ぶね
五十八凶    有径江海隔
とをくはなれてゐるかなしさに浮気されてもぜひがなひ
五十九凶    去住心無定
こゝろがらとて古きやうをはなれひよんな田舎のわびずまゐ
第六十末小吉  高危安可渉
およびないとはそりや気のよはいはりのねがひも棒とやら
六十一吉    雲中乗禄至
ゆきのだるまとおまへのこゝろとけるたびごとまるくなる
六十二吉    但存正公道
かほにやまよはぬすがたにやほれぬとかくさくらの花ははな
六十三凶    黄金未出渠
とかく浮世はせつたのうらでかねがなければなりはせぬ
六十四凶    情深主別離
さきは主もちたよりはしれずいつて見たいにやかごの鳥
六十五末吉   来危亦未蘇
あんなすなをなやなぎでさへも風にかたよる意地をだす
六十六凶    閑事惹風騒
かやとわたしが夜どふしつられじつがないのかあきたのか
六十七凶    枯木未生枝
はらをたつ田に気を紅葉ばのしかも恋しとなきあかす
六十八吉    異夢生英傑
たてたてい女はむだでもよいがせいしはほぐにはならぬぞへ
六十九凶    明月暗雲浮
わたしや野ずへにすむみの虫よ恋しなつかし月のかほ
第七十凶    一心来●禄
あいそづかしもせつないぎりも思ふてたんきを出しやんすな
七十一凶    道業未成時
いへばたがひのはぢとはしれどいはねばりもひもわからなひ
七十二吉    戸内防重厄
からだばかりはだいじにしやんせそばにゐらるゝ身ではなし
七十三吉    久暗漸分明
人もかうかとつひぐちらしくけんくわするのもほれたじやう
七十四凶    事歳方成慶
今のくろふをしとげたのちにむかしばなしにして見たい
七十五凶    望月意情濃
おまへの出やうでぎりある人をすてるくふうもないじやない
七十六吉    富貴天之祐
ふくのかみさへまもりてあればなをもこがねがよつて来る
七十七凶    累滞未能蘇
ほどのよさそな人ではあるがどふも心がわからない
七十八大吉   前山禄馬重
ぬしがかせげばわたしもかせぐともにたのしむ心だて
七十九吉    残月未還光
もつたいないとはつひしりながらむりなねがひの神だのみ
第八十大吉   昇高過九天
ねんがとゞいてくわんおんさんやおれいまいりのなり田さん
八十一小吉   更変得中和
岩にせかれてながるゝみづもすへにやまとまる滝の水
八十二凶    新愁惹旧●
あきがきたのをしうちでみせてきれる心かそりやひきやう
八十三凶    高枝未可攀
あぢさゐのかはり安いは男のならひとてもひらかぬわしがむね
八十四凶    華開値晩秋
あきもあかれもせぬ中なれどぎりといふ字がじやまをして
八十五大吉   望用何愁晩
まてばかんろの日よりがあるになぜか心がせきたがる
八十六大吉   華発応陽台
梅のむすめにやなぎのわかしゆ女びなを雛のさくらいろ
八十七大吉   鑿石方逢玉
かむろみどりも時さへくれば松のくらゐの八もんじ
八十八凶    作事不和同
かうもしたらとしあんはつけどはなすひまさへなくばかり
八十九大吉   方逢喜気多
思ひおもふたねがひもかなひじつにうれしい身のくはほう
第九十大吉   応得貴人推
岩にたつ矢もある世のならひ心ひとつをまよはずに
九十一吉    月桂又逢円
人のことばもやなぎにうけてくらすお人がねづよかろ
九十二吉    前程宜進歩
雪やこほりのさむさをしのぎ梅も花さく春にあふ
九十三吉    隔中須有望
おまへのこゝろにへだてたとこがあるゆへ何かにかどがたつ
九十四半吉   事忌樽前語
うれしがらせつまただまさせつわざはひまねぐも口がもと
九十五吉    志気勤修業
しゆじんだい事に身を大せつにしんぼしてくれ今しばし
九十六大吉   高林整羽儀
ぐちもいふまいりんきもせまい人のすく人もつくはほう
九十七凶    佳人水上行
人めしのんで木曽路のはしよあやふひところが恋の味
九十八凶    欲理新糸乱
しよ手むすんでもつれてとけてこぐらかつたも恋のあや
九十九大吉   紅日当門照
秋の日よりとあんじたときもはれてうれしい月の顔
第一百凶    禄走白雲間
つれてのかんせみやまのおくへふたりくらすをたのしみに
地本錦絵問屋 太田屋
明治十二年九月  日
御届
東京神田区鍛冶町十九番地
編輯出板元 武井佐吉


Bおみくじ系統
 U項目見出しで吉凶を示さないもの
『大しんはん流行たゝみざんよしこの』(菊池真一蔵。木俣浅吉著。明治二十三年一月七日出板。)

このうらなひの見よふは男は扇又はきせる女はかんざし又はよふじばしるいをたゝみへなげへりより目のかづをとりその番のところをよみてうらなひて見るなり
第壱
嬉しい思ひを霞の袖につゝむ笑顔の山さくら
第二
しげり合ふるたがひの中は色もかわらぬ松ばやし
第三
外に恋路が有松なぞとりんきしほりの仇ゆかた
第四
あげてかゝればお客がとうでじまん四階の高調子
第五
言いたきこゞへどなでつけ髪にとけぬ恨の櫛たまり
第六
今はどちらもはりひぢつよく恋に意気ぢの枕びき
第七
おもひつめては夜の眼もほんにねづみ花火の苦労する
第八
とんだ所から恋路のそれ矢的ちがひのやつあたり
第九
迷ひくるわのもどりの雨に内の身上も破れがさ
第十
共にそわつく気も若草のぬれて色ます春の雨
第十一
しる人目を身内にあまり包み兼たる恋衣
第十二
吹けば舞うよな身のない人に添うてしん苦を蝉のから
第十三
どふで浮名をひゞかすからにや二世も三世と婦夫連
第十四
ふつと恋風ふきあげ浜の内ぞゆかしきすだれ貝
第十五
心くもらぬ誠を友にうつし近江の鏡やま
第十六
羽織きせかけゆきたけ詠めたゝいたむかしを思ひだす
第十七
おこすもわるいでかんざしぬいて主のせんばつわけた居る
第十八
襖おしあけまた立咄しおしむみれんの別れぎわ
第十九
とけて嬉しくねる夜の思ひ繻子にはかたのはら合せ
第二十
咲たが花やらさかぬがはなかさくをまつまがはなの華
第廿一
アレサおよしよがらすですけるたゞさへ人目のおゝひのに
明治廿二年一月六日刻成
仝   年一月七日出板
定価二銭
愛知県三河国額田郡能見町六十三番戸
著作兼印刷発行者  木俣浅吉


C易占系統
 T算木図のあるもの
  1辻占文句のないもの
『〔辻占端唄〕とゞ一大よせ』(菊池真一蔵。2本あり。慶応二年以前刊か。春霞楼主人編。大坂河内屋茂兵衛・綿屋喜兵衛等版)

夫易は聖人の建る処にして強ち物を以て名状を当る縡本儀にあらずと雖既に三国の代に官●(車+各)あり亦我朝は阿陪清明ありて吉凶禍福を占ふ今や僕が著す所の恋廼唄占は陳分漢の唐くさきを言ねど又大和言葉のいとやさしき三十一文字の歌にもあらで三筋の糸のいとはかなき都々逸の唄にて其意を知らしめんとす是ぞ童蒙児女子等の独占ひ判断を心で做すの便りにもと余計御世話の所業ながら書肆の需に応じたり●(ニンベン+尚)人あり心中の願事を人に知らさでしらんとならば算木まれ銭まれにて乾兌離震巽坎坤の八卦六十四卦を占ひ上層の唄を読ば善悪吉凶忽に知るべし尤下の唄は其易の変爻を表したれば上下の意違ふべし是は口伝ありといへど譬ば意中に願事ある節花の曇りの唄を聞ば乾為天としり其唄をよみて吉凶を占ふなり故に常に一本を懐中なさば途中にても進退を占ふに便利ありて実に有益の一大奇書ならんと爾云
   東武  春霞楼主人識
乾為天
果報まけしてまごつくよりも時をしづかに待よい
此卦は公家大名以上の貴人には吉なれども平人には悪し尤武士出家などには吉事と見ることもあり万事すゝみては凶也
坤為地
心しづかにじせつをまてば岩に矢のたつ時もある
此卦は地の徳にして万物を生養するの形なりゆへに人の事は世話苦労あり願望その外相談事段々ととゝのふべし
山水蒙
はじめわるくもすへよいならば手鍋さげるもいとやせぬ
此卦は童蒙の義なれば童の段々と智恵づくごとく宜きに向ふべし必ずいそぐべからす諸事了簡ちがひあるべし慎むべし
水雷屯
先にやあくまでその気は有ど花にあらしの邪魔がある
此卦は草の始めて生じいまだ伸たるの意にてばんじにつけその兆はあれども相談ごと願望等にも邪魔ありてとゝのはぬなり
水天需
胸のもや/\いつかははれて月の顔見ることもあり
此卦も急にすべからずたとへば川留にあふて居るの意におもふべし無理にわたらば怪我あるべし
天水訟
人の心はやぶれた屏風はなれ/゛\の蝶つがひ
此卦は上下別々になりて相交はらざるの義背争ふの象也故に諸事とゝのひがたく心身やすからずして憂ひかなしむこと多し
地水師
人のはな見ておる気になればいつかをられし我花を
此卦は大人の徳あれば忠臣孝子には吉也たとへば一人の美女を恋慕ふに大人ならば得べし小人ならばかへつて我物迄人にとらるゝの象なり
水地比
はれて夫婦の盃なしてこんなうれしい事はない
此卦はしたしみありて人と相和楽するの卦也故に知音朋友親るゐなどの力をそへらるゝことありて万の望みごと叶ふなり
風天小畜
たつた一重の障子じやけれどへだてられてはあいかぬる
此卦は物ごと塞りとゞむるの意あり又目に見て手にとられぬ象なれば万事急に調ひがたく常にしんくのかさなりて憂ふるすがたなり
天沢履
こわいとうげをしのびてこせば今じや枕で高いびき
此卦は礼義の心あり又進むの義あり又進むの義あり始は驚くことあれど後には喜となる故にあやふけれ共破れず驚けどもやすし
地天泰
月もみつればかくるがならひらくは苦のたね苦の世界
此卦は貴人にはよし常人は悪し奢侈安逸のこゝろ楽きは??かなしみ生じ又月なかばをすだくやみをむかふの象なり
天地否
はじめや深山のすまゐをしても末にや都の月をみる
此卦は物ごと塞りて通ぜざるかたちなれば末には栄ゆる卦なれば辛抱専一とすべしつひには志をとぐるの時あるべし
天火同人
心清けりや末にはつひにみそこしすてゝ玉のこし
此卦は人心同じくして親み深き意にして万事正直なれば人の取立にあづかり立身出世あるべししかしその心まがれる人には大凶なり
火天大有
朝顔のはなはきれいにさくとはいへど盛りみぢかくちりやすい
此卦は天上に有て照わたるごとく人も時を得たるなれどこれも位まけのしてすへて損失おほく苦労あると知るべし
地山謙
こんなお福とひげしておればとんだ福者に身をよする
此卦は先に屈んで後に伸るの卦也ゆへに何ごともとゝのひがたく苦労多ししかれども身をへり下りてをれば後によきこと来る
雷地予
龍も時くりや天へものぼるわしも時きてぬしにそふ
此卦はよろこぶの義あり雷地上にふるひ出て天にのぼるの時也万物和順して人もおもふ侭に立身出世のよろこびあり
沢雷随
いつそこゝをば倉がへなしてぬしのきまゝな判にしな
此卦は小女長男に随ふの意あり我動かれ悦ふまた枯木重ねて茂る卦なれば物の変りて吉ゆゑに住所をかへて利あり
山風蠱
棒ほどねがへど針ほどきかぬほんにうきよはまゝならぬ
此卦は山中に風を含みて吹出し懐るの意にして諸事につきて難義迷惑する事ありゆゑにすべての願望叶ひがたし
地沢臨
とかく女は柔和になしてほれたと見せずにほれしやんせ
此卦は貴賤相交りて親むの義なり故に物事柔和にして吉別気なる事あしし横合より難渋なと言かけらるゝ事あるべし
風地観
おもひがけなき雨にはあへどはれてことなき夏の空
此卦は晴天に雲の起るごとく思ひ寄ぬこといできて苦労あるべし然れどもその雲を風の吹はらへばさらに障りなし
火雷噬●(口+盍)
はるの泡雪とくるも早き夫婦げんくわの閨の中
此卦は頤の中に物あるの意にして障りあれどもかみ合せて通ずるの義あれば始め調ひがたくとも後には調ふべし
山火賁
ぞつとするよな器量のうへににしききせたら猶よかろ
此卦は虎の林を出て遊ぶの象なれば物のうるはしく又威あるの意なり立身出世あるべし諸の願ひ叶ふべししかしよくかわくへからず
山地剥
仏いぢりをさらりとやめてけふより精進おちました
此卦は枯木の栄花を発するの卦なれば今より新規に物を取始むるによろし然れども高きより落たる象あれば人も身の上安堵ならず
地雷復
たとへ一度ははづるゝとても思ふ的ならはづしやせぬ
此卦は家を破りふたゝび復すの意なれば一度は悪くとも重ねては吉事に向ひ諸事おもふところを成就なすべし
天雷无妄
玉も包めば光りがしれぬぬしもこゝろをあかしやんせ
此卦は石中に玉をつゝむの卦なれば諸願叶ひがたし時の至らざると知るべししかし己が欲にせざる事なれば願ひ叶ふべし
山天大畜
水は下へとながるゝものを上へ船やりや逆となる
此卦は乾艮あい逆するかたちにて住居常にあんおんならずふだん心中にいかりをふくみ恨みをおもふゆゑ安気ならざる義なり
山雷頤
雪をかきわけ桜はさかぬとかく時節を待がよい
此卦は養ふ義にして物の成就する卦なれどもしかし時節の未はやき意あり急にすることはよろしからず
沢風大過
きれた凧ではわしやなけれどもちうにまよひておるわいな
此卦は棟撓のかたちなり上ずることならず下載ることならず中に迷ふの意なり故に何事も不定にして思慮やすからぬなり
坎為水
男心は紫陽花よいつと定めも花の色
此卦は難義困窮の卦にて二人水に溺るゝの象なれば遠く住所を去てよし常にかわる怪しき意有と知るべし
離為火
はつと立たるあの村千鳥風のまに/\わかれゆく
此卦は離別の卦なれば親子兄弟或ひはしたしき朋友などに別れ遠ざかるなり然れども学者出家などには大吉なるべし
沢山咸
寝ごみへ持こむこの牡丹餅はほんにうれしい口果報
此卦は感通して物の速に調ふの卦なり故に思はざる吉事ありて万の願望万事向ふより深切に世話してくるゝなり
雷風恒
風に吹ちるあの紅葉はどこへよるべきあてもない
此卦は物の散失するの意あればあつまると思へばちり散と思へば又集るゆへ更に定まらぬ也住所につきとかく苦労ありと知るべし
雷天大壮
虎に角ありやいひぶんないがそれじややつぱりがいになる
この卦は陽気さかんにして壮はすなはちさかんなれども花ありて実なきがごとく大吉に似て吉にあらず金銀財宝にくらうあり
天山遯
いつそ深山にかくれてゐたらこんな苦労をしやせまい
この卦は退くよみ住所などについて辛苦多く思慮ふんべつも定まらず諸事間違ひのある卦なり願望は邪魔するものあり
火地晋
ぬしとわたしは朝日の症で昇りかけては下りはせぬ
此卦は日の地上に出るの象ありて次第/\にはん昌して立身出世におもむく意あり又人より親み敬まはれ上たる人の恵みにあふべし
地火明夷
三世相にもよくあるやつよ始めわろくてのちはよい
此卦は日の地中にありて分明ならざるの意あれば始めは思ふ処をうしなひ難義をすれど後には栄花の身ともなるべし
風火家人
世帯の車は女の事よ糸をとる気でよくまはす
此卦は家内安寧するの卦也万事によること婦人以てすれば吉なりしかしながら当世の人かくのごとくなる女少し大に撰ぶべし
火沢●(日+癸)
しん気辛苦の種蒔ながらとかく宝の芽を出さぬ
此卦は人心相そむきて万事ことなりがたし故に人中辛苦多く又財宝散乱することありしかし学者などには大吉ありとす
水山蹇
あきが来たとて梢の蝉もほんに朝ばんなきあかす
此卦は寒中に蝉風をかなしむの意にして又龍の玉をうしなふの象也ゆへに宝さんざいして甚しく貧苦にせまるの卦なり
雷水解
やつと苦界のかどとび出してそらに羽をのすはなし鳥
この卦は魚の網を遁れ出たるの意にてなやみ解ちるなり故に難義なる所をのがれ出る卦なりしかれども慎まざれば再び災あり
山沢損
勘定づくには浮世はいかぬ損して徳とることもある
此卦はもと減少とて物の損失ある卦なれども却て宜とする象あれば後にいたりて利徳をうるか又誉れあるか末よき卦也
風雷益
みづがうごけば船までうごくほんにあぶない浪のうへ
此卦は上下とも動きてしづかならず故に住所やすからず心身定まらず辛苦ありて思ひよらざる損毛有慎むべし
沢天夬
床にすへたるあの芥子の花そつとおかねば花がちる
此卦は剛強に過るの卦なれは性急にして万事やぶるゝなれば慎むべし故に人は堪忍柔和をむねとしてかりにも情をおもふべし
天風●(女+后)
やつとあつめしあの落葉をば風がおとして吹とばす
此卦は物のあつまると散うせる象ありて定りなきぎなれば人も分別工風さだまらずして迷ふ也又おもひ寄ずあひあふの意あり
沢地萃
人のあつまる両国ばしは常にけんくわのたへはせぬ
此卦は物の集会してはん昌子するの意なり故に又争論障り常にあれば慎むべし願望かなふべし婦人のさまたげすることあるべし
地風升
もとは二葉の芽ばへだけれど家となるやうに木にもなる
此卦は草木の地中に有て次第/゛\に地上に発生する意なれば段々と立身出世をすべし
沢水因
わしが思ひは百分が一もぬしのかたへは通ふじやせぬ
此卦はこんきう難義の卦にして諸事ふじゆうに我こゝろざし人に通達せず苦労多き卦也
水風井
もと木にまされるうら木はないに心うごかす事はない
此卦は万事あらためかへることよろしからず各あたりまへの職分をつとめみだりに新規の事にとりかゝる事なかれ損ありて益なし
沢火革
うしを馬ならのりかへしやんせ願ひかなはぬ事はない
此卦は万事改むるによし今迄なすことに益なければ速にそのふるきを捨て新しきにうつるべし願望障りあれどもとゝのふべし
火風鼎
ふゆの氷と心がとけぬそこで口舌がたへはせぬ
此卦は常に口舌のたへぬ卦なれば慎むべしゆへに願望思ふまゝに叶はずして病ひの変あるべし是おそるゝとやぶるの意あれば也
震為雷
声はなしても姿を見せぬ雲間がくれのほとゝぎす
此卦は声ありて形なきの卦なれば祥福ありてはん昌の象なれども大てい平人にはよろしからず位まけすることあるべし
艮為山
そこは土腐だに用心しやんせ跡へかへれば怪我はない
此卦は止るによろしく進むに損あり憂喜の山重なりたる義とす故に物ごと半は調ひ半は通達すべし
風山漸
野辺にはへたるあの若松もすへにや枝葉の生茂る
此卦は山上に木をかへて茂生するの意にて立身出世あるべし又女の男を思ふの卦なるゆへ婚姻とゝのふべし
雷沢帰妹
おもひ願ひはみな違ひ棚床のすへものわしやいやじや
此卦は不意にまちがひの有卦なれば慎むべしまた色情はつきて苦労あり且願望さまたげあり
雷火豊
水にうつれるあの月影はめには見るのみにて手にとれぬ
此卦は盛大の勢ひある卦なり然れ共余り大すぎて却つてそのかたちを失ふたとへば水中の月のごとく目に見て手に取れぬ意なり
火山旅
花もつぼみが匂ひはふかいひらきすぎては曲がない
此卦は始めよろしく後わろし万事に付つゝしむべし又月の半出たる意あれば少事はよしその心にて占ふべし
巽為風
あたる矢さきを風ゆへそれて思はぬ苦労もするわいな
此卦は通達の意ありておもふことを遂るの卦あれど横合より思ひよらぬ障りありて事を仕そんずる事有べし
兌為沢
こゝろはやしやでも菩薩でも顔にたれしも迷ふはむりもない
此卦はよろこびの顕はるゝ卦にしてよき卦なれども物事取しまりなく埓あかぬ意あり外見はよく内心よからぬの意あり
風水渙
うきくさのはなはきれいにさいてはゐれど風のふくたびみだれあふ
此卦は物のちりとくるの意ありて悪事の身を離るゝの吉兆とす然れどもちりみだるゝ義あれば損失あるべし
水沢節
小さな石でも邪魔するときは大きな車もうごきやせぬ
此卦は物事滞りてさはりある卦也ゆへに運つたなくとぢふさがる象にて万の願望叶ひがたきと知るべし
風沢中孚
おのが心を善悪ともに鏡にうつして見やしやんせ
此卦は誠あるの卦にして心中正直ていねいなれば吉とす我邪の心あれば大凶にして目前にばつあるべし
雷山小過
ひとつ叶へば二ツのふそくほんにねがひはたへはせぬ
此卦は物の十分にみてんとすれば又不足のことを発し調ひがたき卦也しかし大きなる災なけれどもつねに苦労あるべし
水火既済
おもひみだるゝ風の野のすゝきとくにとかれぬ胸のあや
此卦は物の乱るゝ始めとす故に一旦は成就するとも末には破るゝ也色情の事に苦労あるべし慎むべし
水火未済
なんぼきれいな花びらとても落たうへにて実をむすぶ
此卦は物の成就する卦なり然れどもいまだ用をなさずといへど後相まじはることを吉兆とするゆへに願望とゝのふべし

九曜星の吉凶の事
日曜星
風をうけたるあの帆懸ぶねおもひどふりにのしてゆく
此星にあたる年は万よくして家業はんじやうすべししかしゆだんをすれば損あり
月曜星
旅もするもの思はぬ所で金の弦をばほりあてる
此星にあたるとしは万事よしたび他国して仕あはせよく思ひよらざる幸を得る事あるべし
羅喉星
せんじつめたる薬のやくわんみがきあげても光りやせぬ
此星にあたる年は大いに悪く財宝をそんするか又は病難あるか親るい他人の殊によりて辛苦あるかなり
土曜星
さきのきれたる箒じやないがはかなき此身のさつしやんせ
此星にあたる年は万事よろしからず望みごと願ひ事何ごとも一切かなはぬ年なれば慎むべし
水曜星
ぐるり/\とまはりておれば氷るひまなき水車
此星にあたる年は先よしといへどもその職におこたるときは悪しゆへに随分精をいだせばよろこびごとかさなるべし
金曜星
若葉のうちをばだいじにすればすへにや枝葉のおひしげる
此星にあたる年は春のうちはあしく親るいか父母にはなるゝことあれどしん/゛\すればよろこびこと重なるべし
火曜星
江の嶋細工のびやうぶぢやないがばら/\はなるゝ春の雨
此星にあたる年はよろしからずおや兄弟親ぞくにはなれることあるべしさもなきときは金銀財宝をそん失なすべし
計都星
水かさまさりしあの泪川わたりかねたる世のたつき
此星にあたる年は万事大いに悪し泪のかわく間あるべからず尤夏のうちは別して悪しといへども秋より少しはよし
木曜星
かさね/゛\のめでたい事にかさね/゛\の酒をのむ
此星にあたる年は万よしたとへば春にあふて木の芽をいだすがごとく次第にうんのひらきて幸をかさぬべし

生れ性十枝の吉凶
奇光枝 きのえのとし
おもふことかなふ福介打出の小づちおかめに見てさへ楽隠居
此枝に生るゝ人はわかきときはひんなれども段々と思ふごとくになりて末には大いなる福徳を得べし
金財枝 きのとのとし
行末は海となるまべき谷水なれどしばしこの葉の下をゆく
此枝に生るゝ人はわかきときはおもひごとたへず人にあたまをおさるゝなれど次第に出世をなして大海のひろきへ出べし
千歳枝 ひのへのとし
もとは裾野をとふりて来たがのぼりますぞへふじの山
此枝に生るゝ人は段々富貴にいたり官にすゝむの相ありてつねに目上の人に愛せらるゝゆへ引立にあづかり出世をなすべし
銀宝枝 ひのとのとし
かぜに羽をのすあのいかのぼり糸のひきてのあるゆへに
此枝に生るゝ人は前に同じく貴人高位のてうあいにあづかり段々と幸を得べし信心うすき人は苦労あると知るべし
散高枝 つちのへのとし
萍のしかとところはさだめぬけれど花もさくなり実もむすぶ
此枝に生るゝ人は田畑にえんあるといへども常に住所につきてもの言たへず苦労ありしかし財宝にえんありて十方よりあつまるべし
天高枝 つちのとのとし
うめと桜は一時にさかぬ咲ぬはづだよ時がある
此枝に生るゝ人は無口にして空言をいはず福分ありて命ながしといへども子なし若子あるときは福分ありといへども老てまづしくなるべし
五柳枝 かのへのとし
猪しゝむしやともいふならいやれ義を見てうしろは見せはせぬ
此枝に生るゝ人は上べは心しづかにして下心ははげしく学文に心ざしあり但し短気にて財宝身につかねど義を見てはあとへ引ぬ性なり
虚部枝 かのとのとし
所がへしてすゞめじやさへもひなをそだつる親鳥のおん
此枝に生るゝ人は正直なれども心たけくおやに不孝なるべしゆへに住所をかゆるのなやみあり孝ならばよし
豊陽枝 みづのへのとし
人はなにともいはまのつゝじこちは春くるときをまつ
此枝に生るゝ人は心しづかに時節をまつべし思ひよらぬさいはひにあふべしとかくに剛気のことを慎むときは大いによし
柳復枝 みづのとのとし
たとへおふくと笑はゞわらへみめより心がしんの玉
この枝に生るゝ人は心正しけれども人のそねみをうくべし殊に女はみめかたちうるはしくして妬をうけ大難にあふべししん/゛\をなすべし

十二支生れ年吉凶
子年 坎中連
三味線のどうせはなれる二人がなかはきれた糸ならかけかへる
此年に生るゝ人は衣食にえんありて常にしづかなることをこのむ性也しかしふうふのえん薄くはじめの縁かはるべし
丑年 艮上連
はしめ大きく中たびへこみ末にやふくれるなりひさご
此年に生るゝ人は身上はじめはよく中ごろ悪くなり年よりて又仕あはせよくふつきはんじやうなるべしもつとも此人はちえかしこき生れなり
寅年 艮上連
からみついたる毒草とても秋の末にはうらがれる
此年に生るゝ人はさいなんおゝくしてその身わづらひたゝるべししかれども三十過てより段々と仕あはせよく財ほうにえん有べし
卯年 震下連
梅よ桜よ柳よ桃とさうは両手にもてはせぬ
此年に生るゝ人はちえさいかくありといへども余り諸芸をならふ事多くしてとげがたしもつとも財宝にえんあるべし
辰年 巽下断
文字にかいても身をたつのとしのぼりますぞへ雲までも
此年に生るゝ人はちえかしこくともほうばいの中ねんごろにして段々と立身出世をなすべししかし女房のえん薄くたび/\かはるべし
巳年 巽下断
一升つまらぬ五合のうつわひろくもたんせ心もち
此年に生るゝ人はこゝろちいさくして常におもひごとたへず又人をそしりねたむ性なりこれ前生は女人なりしゆへ業ふかければなり
午年 離中断
千両の鷹もそのばで放して見ねば芸のよしあしわかりやせぬ
此年に生るゝ人はとかく父母の愛あつくしてその手元をはなれざれども却つてたゝることあるべし別に家やしきをもちてよし
未年 坤皆断
かねの宝はつみおくとても金でかはれぬ子の宝
此年に生るゝ人は前生にものゝ命を多くとりたるむくひにて今生にては子のえんうすくたゝるべししかし財宝はみちたるべし
申年 坤皆断
質屋のばんとうくどくにさへも言葉おゝきは品がない
此年に生るゝ人はつねにことば多きさがゆへしそんずることありつゝしむべし又たび他こくをかけまはり辛労することあるべし
酉年 兌上断
道の真中にはへたる草はあたまあげるとふられます
此年に生るゝ人はとかくにうんをおさへらるゝかたちありて若年のうちはくらうたへずかつ親兄弟にえんうすけれどちえ才かくはあるべし
戌年 乾皆連
小川ながるゝ落葉を見なようきつしづみつ海へ出る
此年に生るゝ人は若年のうちはたび/\うきしづみありて苦労あれどもすゑには大海へ出しごとく立身出世をなすべし
亥年 乾皆断
瓜の種まきなすびははへぬあくのむくひにぜんはない
此年に生るゝ人は前生に善根をまきしゆへその徳にて今生にても衣食にことをかゝずまんぞくなり又手のげいありて財あつまるべし

五性の善悪
木 東の方 青色 歳星
のぼるあさひのいきほひつよく四方にひかりをしくわいな
此性にうまるゝ人は朝日の昇るいきほひありて誠にめでたく時めくべし尤万事ひかへめにすべし
火 南の方 赤色 ●(「螢」の「虫」の代りに「火」)惑星
赤いしかけはめにつくけれどさのみうまみはありやせまい
此性は生るゝ人はめのうへの人の引立にあづかるといへどつひにはわかるゝ事あればつゝしむべし親兄弟に縁うすし
土 中央 黄色 鎮星
道もまん中とふりておればどぶへおつべきわけがない
此性にうまるゝ人は万事ひかへめにして何事も中道をゆけば大いによし少しにてもこゝろにゆだんなさば大なるわざはひにあふべし
金 西の方 白色 太白星
月もみつればかけるがならひ山ものぼればくだらんせ
此性に生るゝ人はあまりうんよくして一時に出世をなすといへど極まりありて又段々とあとへもどるなればかならず油断すべからず
水 北の方 黒色 辰星
花はさくとも深山のさくら人の見られぬ口おしさ
此性にうまるゝ人はちえ才かくありといへど人の見だしにあづからず一生うもれてくらすべしこれあまりそのこゝろのいんきなればなり


C易占系統
 T算木図のあるもの
  1辻占文句のないもの
『つじうらどゝ一 上』(菊池真一蔵。弦声堂主人序。明治五年。松延堂板。)

古人の曰く易に益たり事に臨んで先其吉凶を考へ而して進退す故に悔なしと云々しかれども其意ふかくして学ばずしては解がたし依之今都々一の章句を易の卦面に当其善悪をしるす是然ながら易の益たるにあらずや
   明治五壬申春          弦声堂主人記
ひけすぎに客をかへしてあのまち合のつじでとるのはぬしの占
つるべとられたあさがほよりも露のひぬ間にもらひなき
乾為天
たつとき人にはよし平人はわろし万事つゝしむべしねがひ事叶がたしたび立凶まち人きたらず
のぼりつめたる五階のはしご人のゐけんもうはのそら
天風后
女一人男五人にましはるかたち万事とりしまりなしねがひ事かなひがたしまち人おそくとも来る
てきは大ぜいみかたはひとりわたしや女できがもめる
天山逐(ママ)
万事すゝんで利なししりぞひてときをまつべしねがひ事月をこへて叶ふまち人おそくきたる
あきもあかれもせぬなかなれど義理といふ字でなきわかれ
天地否
はじめあしくとものちにはすこしよし○ねがひごとさわりありてはかどらず○まち人はとちうにとゝまりておそし
しやうじひとへも人目のせきにものもいはれぬ身のつらさ
天沢履
こほりをふむごとくなるあやふきことあれどもさはりなし吉ねがひ事いそいではわるしまち人きたる
部屋ややりての目がほを忍びあげてうれしいとこのうち
天雷无妄
すこしおどろく事あれどもさはりなし○ねがひ事人をたのみてよし○こんれいは吉まちびときたれどもおそし
むかふかゞみにやつれたかほをうつし心でくやみなき
天水訟
万事あらそひくぜつありてしんぱいありつゝしむべしねがひ事てまどるまちびとおそくきたる
いへばどふやらぐちらしけれどいはにやうはきがなほつのる
天火同人
もの事あきらかにしてよしつゝみかくしてはあしくねがひ事かなふ○えんだんよしまち人すみやかにきたる
人をたのんでわたりをつけてせけんはれての女夫中
兌為沢
よろこびあれどもとり〆りなくをだはらひやうぎなりねがひ事なるやうでならずまちびとたよりあり
わけもないことわけあるやうにいはれりやぎりにもせにならぬ
沢水困
しんぱいくらうおほく物にくるしむかたちなりねがひ事てまどるまち人きたるべし
ぬしの心はいまひき汐でふちも瀬となるあすか川
沢地華
にきやかにてはな/\しきていなり見るところはよけれども内にくらうあり○ねがひごと不叶○まち人きたる
ほどもきりやうもよしのゝさくらこれは/\といふばかり
沢山咸
引よりよきことのつげ有万事吉にむかふかたちねがひ事人にしたがひてよしまち人てまどる
ねんがとゞひてこよひのあふせこれでわかれがなけりやよい
沢火革
万事あらたになるかたちふるきさつてよしねがひ事ことをかへてよしまち人きたる
まつもかれ葉をみなかりこんでしんきしんめがよいはいな
沢風大過
女につきあらそひくぜつごとありつゝしむべしねがひごとかなひがたしまち人きたらず
ぬしはうはきな田毎の月よどこへまことをてらすやら
沢雷随
目上の引立あるかたちなれば人にしたがひてよしねがひごとかなふえんだん吉まち人すみやかにきたる
ふたりくらさば深山のすまゐしばかる手わざいとやせぬ
火水未済
わたりにふねなきかたちにしてこゝろさらにさだまらずねがひ事てまどるまちびときたらず
月はかたむくよはほの/゛\とまたぬひとこゑほとゝぎす
沢天夬
しあんくふうさだまらざるかたちなり○ねがひ事こゝろまよひてらちあかずまち人おそし
うたぐりぶかいといけんをすれどほれりや心がなほまよふ
離為火
わかれ又あふ事をつかさどる小事に用ひて吉火事に凶ねがひ事あらたなるをよしとすまちびとおそくともきたる
かなくぎのをれのやうでもゆかりのふみはまもりぶくろへいれておく
火山旅
とりのすをやかれしごとくぢうしよにつきくらうありねがひ事叶ひがたしまちびときたる
あふはわかれのはじめとしれどいまさらかなしいこのわかれ
火風鼎
物事あらたにさだめたるかたちなり吉○ねがひ事かなふこんれいたびだちわたましよしまち人おそし
おきやくつとめてかへしたあとでぬしとふたりでこなべだて
火地晋
ものごとさかんなるかたち也万事すゝんでよしねがひ事すみやかなるに吉まち人きたる
ぬしを思へばてる日もくもるひくさみせんも手にやつかぬ
火天大有
万事さかんなるやうなれ共さらによろしからずねがひ事てまどるなりまち人きたる
一両がはな火まもなきかぎやのふねよほめるあいだにきへてゆく
火沢●
万事こゝろ/\なるかたち也人の心そむいてこととゝのはずねがひ事さはりあり不叶まち人きたらず
どふせまかせぬつとめのからだじつもふじつになるつらさ
火雷噬●
くちにてものをあぢはふごとしぜんあくをかみわけてよしねがひ事かなへどもおそしまち人きたる
あだなさくらのちりゆくのちにまつのみさほはよくしれる
震為雷
万事ざわ/\としてこゝろやすからずうごくかたちありねがひ事くらうして後すこしくかなふ○まち人きたる
まつがつらひかまたるゝわしがうちのしゆびしてでるつらさ
雷地予
あらかじめものごととゝなふかたちなり○ねがひことかなへどもおそし○こんれい吉まち人きたれどもおそし
そひとげる人もはじめはふとしたことよほれたがえんではあるまいか
雷水解
くらうしんぱいしりぞきおひ/\よきかたにむかふ也ねがひごとおそくかなふまちびときたれどもおそし
滝の水いはにせかれていちどはきれるすゑはながれてまたひとつ
雷風恒
あらたなることにはあししふるきをまもりてよしねがひごとかなへどもおそしまちびとてまどる
たとへどのやうなかぜふくとてもよそへなびくないとやなぎ
雷天大壮
そとさかんにしてうちおとろへるかたちなりねがひ事さはりありまち人とちうにとゞまる
よわいからだでげいしやのつとめしんぼしてくれもうすこし
雷山小過
大きなること用ゆべからず小事に用ひて利ありねがひ事叶ひがたしまち人きたる
しらつゆやむふんべつでもくさばがたより恋のうき身のおきどころ
雷沢帰妹
女のことにくぜつごとありものごとつゝしみてよしねがひ事ほねををりてかなふ○まち人きたらず
ぶたれるかくごのわしやむすびがみいろであふときやかうぢやない
雷火豊
ほかにはゆたかに見ゆれどうちにくらうありねがひ事あしくまち人きたれどもおそし
ちればこそ花はよけいになほをしまるゝくらうするのは色の花


C易占系統
 U白丸黒丸図のあるもの
  1辻占文句も判断文もないもの
『こゝろいき辻うらどゝ一』(菊池真一蔵。刊年不明。明治初期か。越村屋平助版。)

(扉)
新選六十四卦
心意気辻占都々一
東都 越村屋平助板
此うらなひの仕やうは常に信心する所の神仏をいのり心に思ふ事を念し何とそ吉凶を告給へと銭三文づゝを両の手にてよくふり二度なげいだし形のかたを黒とし波のかたを白とし本文の○●にあはせてうたのよしあしにて其身のねがひ望身の上等に引くらべ唄の心をよくすいりやうしてはんだんすべし善悪ともに其人の信ずるによる所にこそ
一縁だんの吉凶
一男女の相性
一願ひのぞみ
一待人の遅速
一身の上の考
一行すゑの事
◎にあらざれば何にても表うらあるものを右の易にあて用てよし
●●●●●●乾為天
思ふ念力とゞいたうえは行世つきせぬさゞれ石
○○○○○○坤為地
ひんなくらしにおもはぬおまへすえのとげやうはずがない
○●○○○●水雷屯
神谷仏のちかひもあらばやがて其身もすみ田川
●○○○●○山水蒙
ぬれたことからつい苦にやんで娘ごゝろの五月雨
○●○●●●水天需
壁に耳ある世の中なれば隠しおうせることはない
●●●○●○天水訟
露にうかれて来るてふ/\も風がちやまする世のならい
○○○○●○地水師
水をあげてもためなをしてもいけて久しきものぢやない
○●○○○○水地此
しんの余城ぢやわしやないけれど思ふ念力おもふ程
●●○●●●風天(ママ)
なしたなんぎはのかれもしやうが人に天震まぬがれぬ
●●●○●●天沢履
まるに井の字は白井の水よあらいあげたる小むらさき
○○○●●●地天泰
かへる厂金手紙をわたしやがて燕のへんじして
●●●○○○天地否
国の手形は言葉とやらで人にゆだんはなりやせまい
●●●●○●天火同人
梅と竹とをなるべく植て千代に八千代にはなの兄
●○●●●●火天(ママ)
およばぬねがひはいのらぬものよ天にとゞかう竹はない
○○○●○○地山謙
うきな辰巳の小まどをあけて主の来るのを松の風
●○●○○○雷地予
はらを立田の紅葉はいやよ顔のあからむことちやもの
○●●○○●沢雷随
月の下ゆくあのむら雲はよその見る眼もかくすだろ
●○○●●○山風蠱
千里ひと飛恋にはうときとらの位をかる野良狐
○○○○●●地沢臨
人におくれてたゞ何こともふくの来るのをさきになる
●●○○○○風地観
風の木の葉はついちりやすいはやき青葉は跡になる
●○●○○●火雷噬●(口+盍)
身をばたゞへりくだりたる浮世は安くくらせいそがずはかどらず
●○○●○●山火賁
わけもないしよの目つまを忍ひあがるはしごのだんまつま
●○○○○○山地剥
つれてのかんせみやまのおくにふたり暮すをたのしみに
○○○○○●地雷復
これや目出度四海のなみにうかむ瀬もある世のためし
●●●○○●天雷无妄
ぬしの心を遠からしればむりな願ひはせぬものを
●○○●●●山天大畜
釣に夜も日も明石のうらの汐のみち干は幾とても
●○○○○●山雷頤
ぬしとわたしはついふたごゝろおなじやうぢやがつりやはぬ
○●●●●○沢風大過
小野小町の行末しれば人にたよらぬものはない
○●○○●○坎為水
うそもまことに駿河の不二もゆきの肌えにやとけやすい
●○●●○●離為火
春の日和はわたしの心秋のひよりはぬしの癖
○●●●○○沢山咸
信と忠とに身はおきふしのなんのおそれる物があろ
○○●●●○雷風恒
いもせ雷神そのよい中も人にやおちめの有ぞいの
●●●●○○天山遯
人は一心たゞひとすぢによいもわるいもなる御山
○○●●●●雷天大壮
かくす事とは元より承知しれりやたかひの身のつもり
●○●○○○火地晋
我はゆたかとゆたんはならぬ花にあらしのあるならひ
○○○●○●地火明夷
はじめはよけれどをはりがわるい中のわるいは常の事
●●○●○●風火家人
君とわたしは比翼の鳥(ママ)苦労しながらはなれない
●○○○●●火沢●(目+癸)
酒にいはする心のたけをうけてとぼすはなさけなや
○●○●○○水山蹇
かなはぬ恋なら先すてゝおけ叶やたかひに身をくやむ
○○●○●○雷水解
諸書に明るくなりふりまでも替りやすき(ママ)恋のみち
●○○○●●山沢損
悪のむくひはたちまちくると知てしらない地蔵顔
●●●○●●風雷益
始手はこはいは思ひの外にやがて無運となるしらせ
○●●○○○○沢天夬
時とじせつと世のことはざに雨となる日も風となる
○○○●○○天風姑
縁につながりゑにしの尾縄きれどおまへのむりばかり
○●●○○○沢地萃
めぐりあふ世もまたあらうかと仏だのみの身のつとめ
○○○●●○地風升
出船入船そのある中にわたしやまよいて真帆片帆
○●●○●○沢水困
人の富のをうらやむよりも己が貧せぬやうにして
○●○●●○水風井
夢になりともしらせんものとむすめ心のものあんじ
○●●●○●沢火革
たとえ世間で笑をとまゝよ神がむすびしゑんぢやもの
●○●●●○火風鼎
家やゆかしきあの琴の音と人にいはるゝしどけなさ
○○●○○●震為雷
手水鉢にて手を清水にちらす清玄桜ひめ
●○○●○○艮為山
貧苦/\におひまはされて末にやこの身のおきどころ
●●○●○○風山漸
硯引よせかく玉ふみはやかておのれのほぐとなる
○○●○●●雷沢帰妹
主をわたしは木立にとりて化さるゝとも気にかけぬ
○○●●○●雷火豊
人の恵のかずかさなりて神のめくみもやかてまた
●○●●○○火山旅
心がらとて身を喰つめてたよりなき身の置どころ
●●○●●○巽為風
鳥の雛さえなく音をまねる親はこひしき雉子のこゑ
○●●○●●兌為沢
仏迷へはぼんぶのやうとたとへ世間で言ばいへ
●●○○●○風水渙
常にゆだんのない人ならば何に驚くことがある
○●○○●●水沢節
野辺に飛かふ蛍ぢやないが心がらゆえ身をこがす
●●○○●●風沢中孚
これかあれかと迷ふて居てはいつも定まることはない
○○●●○○雷山小過
悪き心をさらりとやめておにも仏となるならは
○●○●○●水火既済
雪の降のはそりや幾日でもはれりやとけるが世のならい
●○●○●○火水未済
祷る心にまことをこめてやがて夫婦と成田山


C易占系統
 U白丸黒丸図のあるもの
  2辻占文句のあるもの
『心いき辻うらどゞいつ』(菊池真一蔵。刊年不明。明治期か。)

此うらなひの見やうはぜに六文手のうちにてよくふり思ふことを心にねんじて右のぜにをなげべしぜにのかたをしろとしうらをくろとしほんもんの○●○●●○引合見給ふべしうたのもんくにより思ふお人の心の中かゞみにてらしみるがごとし
伏義さんと云おかた八卦を作しといへどもあんまりきまじでようきならず思ふお人の心のうちをしるには心いきのどゞいつにしかず世の中のあだぎみたち一寸やつておみなんしと云  作
○○○○○○ うれしいなかだよ
あけてうれしやあのはつがらすぬしの日のでをまつかざり
●●●●●● ねがいがいつかなうだろう
すへのやくそくかくまきがみのつぎめはなれてものあんじ
●○●●●○ のちのたのしみをまつ
しんぼしなんせゆきまのわかなやがてよめなとなるわいな
○●●●○● うはきらしいことばかり
みすてさんすなわしやつたもみぢからむたよりはぬしばかり
●○●○○○ まゝにならぬよ
むかうかゞみにやつれたすがたたれゆへこんなにくろうする
○○○●○● 一どはそうどうかもと
おやけうだいにもみかへたひとをとられた此みがたつものか
●●●●○● かんしんしてみな
じつとつくすもふじつになるもみんなおまへのむねひとつ
●○●●●● 心はわかりきつているよ
のちにやこうさとびやうぶをみせておびとおびとのこもちすじ
○○●○○○ なめてゞもしまいたい
しごとおぼへてぬいはりしやうとにやうぼきどりのしたごゝろ
○○○●○○ とかくわごうがよし
したしいなかにもれいぎがだいじもとはたにんのことじやもの
●●●○○○ せけんのぎりもなんの其
いろのこいのとみなくちぐちにいふはやくのかそねむのか
○○○●●● どうせつまらぬ
さきであきかぜふかせるきならすべよく此みもちるやなぎ
○○○○●○ うちあけて云のがよし
たがいにひとりみなにはゞかろうはれてめうとになるがよい
○●○○○○ あんしん/\
おもうとをりにねがいもかないじつにうれしいみのくはほう
●●●○●● どうしてこんなきになつたろう
とかくこいぢはあとさきみずのふりやうけんほどじつもある
●●○●●● ゆだんはならぬ
よにつれてかはる心はとうじのならいよもやと思へどぬしまでも
●○○●●○ かんしんなこと
としよりすぎるとわらはゞわらいわたしやだいじなうちのひと
○●●○○● うはきなようでも
いきなすがたにきをもみぢばのいつかうきなもたつた川
●●●●○○ きがもめますよ
なかゞよいとてゆだんはならぬどんなあくまがあるところ
○○●●●● あきらめておしまい
したゑだのはなはおらずに扨ものずきなとゞかぬこずへでくろうする
○●○●●○ すへがおもはれるよ
うそとしりつゝあのくちくるまひくにひかれぬいろのみち
○●●○●○ うつかりはできず
さけはのめどもつゝしみふかくどこまでつうだかわからない
○●●●●● ばか/\しい
ふられたそのうへまたてらされるきつねのよめりじやあるまいし
●●●●●○ むかしばなしになるよ
いまゝでいろ/\きがねもしたがこれからはれてのわしがつま
○○○●●○ こうかい先にたゝず
いやなしんぼうするきにならばこんなくろうをしはせまい
○●●○○○ おもしろい世のなか
金利のあがりでこいきなくらし日々にふたりでさいこのみ
○●●●●○ おあいだ/\
いやと思へばかたときどころこへをきくさへしやくのたね
●○○○○● やくのはつねのこと
男づくじやのつき合じやのとうはきよさんじてすむかへな
●○●●○● にくゝもなし
じつがこうじてついでだぐちよきにかけしやんすないまのこと
○●○○●○ どうなるものぞ
おまへもやぼならうきめもみまいすいがみをくうむふんべつ
●○○○●● のちがだいじ
すへをかんがい此みをおもひいやなわかれもせにやならぬ
●●○○○● おもしろし/\
いろのせかいをさらりとすてゝこれから二人りでともかせぎ
○○○○●● いけないねい
ねとるたくみのむねわるおんな人のなげきもしらぬふり
●●○○○○ ごやつかいだ
うるさすぎるとあいそがつきるりんきぶかいもほどにしな
○●○●●● このうへなし
日ましにはんじやういへとみさかへ上下そろうてむつましく
●●●○●○ ぢれたいよ
そんなににくけりや口かづいわずいつそころすがよいわいな
○○●○●○ ちがいなし
いへのはんじやうよしあしともにおまへひとりのむねにある
○●○●○○ こツちの心しだい
かどのいぬにもようあるたとへあいそつかしをせぬがよい
●○●○●● 云にいはれぬじやう有
さきはしうもちたよりもならずいつてみたいにやかごのとり
●●○●○● くろうをしたよ
なか口きかれてうたがはれたもとけてうれしきおびとおび
○●●●○○ とうざばかり
たぬきねいりをきつねがおこしおきてばかそかばかさりよか
○○●●●○ 上しゆび/\
ねがをにみとれてまくらにもたれどこへこんなにほれたろう
●○○○○○ らくはくのたね
じやうになるとてわがまゝするなみつればかけるがよのならい
○○○○○● いくじはなし
はなげのばしてつぎこむかねをまぶへとられるばかもある
●○○●●● くろうありすへよし
なんの其岩にたつ矢もあるよの中にいのりてとゞかぬことはない
●●●○○● 先へいふてよし
おやはにしきをきるみといふがてなべさげたいこともある
●○○●○● 人をたのむべし
ゆめになりともあはせておくれゆめじやうきなもたちやせまい
●○●○○● あつさりがよし
くめどつきせずくまねどまさず井戸の水しやううはきしやう
●○○○●○ せけんがだいじ
なまじたがいにあらためだてをするゆへお?しくめにもたり
○●○○○● なんにもならず
すいたおかたとかきのめされてねずにひとりでとこのばん
●●○●●○ すへはよし
かんしやくもちでもこちらのしやう馬のたづなにふねのかじ
○●●○●● くぜつあり
かたいきしやうがしやうこじやなどゝよいにいふたはきやすめか
○○●○●● こたいられず
ないしよはできてもせけんがあればなかだちよたのんでそうがよい
●●○●○○ しんぼうがかんじん
おやはふせうちわしにはすいたいきなおまへはなまけもの
●●○○●○ みにあまるくろうあり
いぢとはりならまけないわたしかねにせかるゝそのつらさ
○●○○●● ことをまかせてよし
しらぬたびぢにくろうをしてもせけんに人おにやないものよ
○○●●○● すへよし
ふみのたよりもはれてはならずうはさするのもむねのうち
●○●●○○ 大によし
くれたけのよくをはなれてみさをゝまもりほかのとのごのはだしらず
○○●○○● なにごともよし
ぬしをたいせつふたおやさんへこうをつくすはわしのやく
●○○●○○ くろうあるつゝしむべし
うれしがらせてまたおこらせてわざはいまねぐもくちがもと
○○●●○○ はなるゝ
きりこどうろでうはべのかざりはらもみもないこゝろざし
●●○○●● 人をたのみてよし
こみいつたあやがあつてはちよいとはとけぬさゝいなじやまならなんのその
●○●○●○ 万事あしゝ
ようたしやつつらつく/゛\みればはくそよだれにすじだらけ
○●○●○● すへほどよし
二人りがゑにしはいろふか川よ〔かいのはしらにかきのやねあだなあさりにそうよりも〕やつぱりおまへのばかゞよい


C易占系統
 U白丸黒丸図のあるもの
  3判断文のあるもの
『恋の辻占独り判断』(菊池真一蔵。刊年不明。明治初期か。判断文省略。)

恋の辻占独り判断
このつぢうらの仕方はぜに六文を手に握りなむ乾元かうり/\/\と三べん唱へその銭を投出しその銭の並びしとをりを引合せ歌の心と判断とを見てその吉凶を知るべし
○○○○○○白は波の形なり
●●●●●●黒は文字の方なり
●●●●●●乾為天
まほに受よく乗出す船もふとした風からあと戻り
○○○○○○坤為地
若や夫かと閨の戸明りや月はおぼろに啼水鶏
○●○○○●水雷屯
花に靡くも世渡り故にこちは三筋の糸やなぎ
●○○○●○山水蒙
ちから揃へば踏石さへも揚てゆるがす霜柱
○●○●●●水天需
顔は見ゆれど互ひの胸を明て言れぬガラス窓
●●●○●○天水訟
苦労気がねを積重ねたる二等煉瓦の楽住居
○○○○●○地水師
ひよく連理と契りし中も仇な嵐しで気がそれる
○●○○○○水地此
心の苦労もしばしの間昔語りの種となる
●●○●●●風天小畜
月の誠はうつらぬ筈よ池にや浮気な草がある
●●●○●●天沢履
新聞へ出された時には恨んだものゝ斯成りや二人の結ぶ神
○○○●●●地天泰
赤いしかけで迷はすものは恋の手管の教道師
●●●○○○天地否
アレサおよしと払つた手先いつか枕の下になる
●●●●○●天火同人
酒も豆腐も自由な廓で聞は果報かほとゝぎす
●○●●●●火天大有
右と左りに妾と女房酒と肴で楽遊び
○○○●○○地山謙
うひもつらひも恋路の習ひ辛抱仕とげて宿の妻
●○●○○○雷地予
花よ涼と楽しむ内にいつか吹こむ秋のかぜ
○●●○○●沢雷随
心と心があいさへすれば性が合ふが合ふまいが
●○○●●○山風蠱
かたいお前と思ひの外にみかけ計りの夏氷
○○○○●●地沢臨
月夜がらすと止ては見たが嘘のつけない鐘のかづ
●●○○○○風地観
床の花よと詠むるうちにいつか色づく室の梅
●○●○○●火雷噬●(口+盍)
曇る噂さも訳さへつけば晴てうれしい梅雨の空
●○○●○●山火賁
主の此頃顔向せぬは胸に焚火でけむいのか
●○○○○○山地剥
おぼろ月夜がさらりと晴て忍ぶ恋路の邪魔をする
○○○○○●地雷復
思ふお方は兵士にあたりわづか三とせが百千年
●●●○○●天雷无妄
端書便りどや人目が多い中を知らせぬ封じ文
●○○●●●山天大畜
花に来りてたはむれる蝶も居所さだめぬ花ごのみ
●○○○○●山雷頤
添れにや死ぬとは開けぬことよ命ありやこそ末もある
○●●●●○沢風大過
同じ人でもお客と車夫は車へ乗す人曳す人
○●○○●○坎為水
すかぬお客に見受をされて楽も苦の種主のたね
●○●●○●離為火
風のまに/\アノ浮草は岸を定めず花がさく
○●●●○○沢山咸
枕あいてに写真をなかめ主とそひ寝をしたごころ
○○●●●○雷風恒
ぬいたりはめたりして居るうちに足をいためる出来のくつ
●●●●○○天山遯
灯火の蔭に迷ふてうか/\来るか命すてるぞ夏の虫
○○●●●●雷天大壮
まだか/\と夢中に成て欲に手を焼く米会社
●○●○○○火地晋
心うち解下紐までもとけてかたらふ好た同士
○○○●○●地火明夷
うそじやないよとことわる丈に猶もうたぐる胸のうち
●●○●○●風火家人
ヒタと寄そひ抜身を握り殺しておくれと鼻でいき
●○○○●●火沢●(目+癸)
口の車へ野暮をば乗てそして三すじの糸でひく
○●○●○○水山蹇
延した心の糸目が切て風にたゞよふ奴だこ
○○●○●○雷水解
主の咄しは表もうらもなくて涼い門やなぎ
●○○○●●山沢損
たゝきながらも疑はしやんす赤い西瓜の気もしれず
●●●○●●風雷益
塵積で山と成程借銭したも三味の調子にのつたばち
○●●○○○○沢天夬
以後の浮気は罰金ときめて是までしたのはおとり消
○○○●○○天風●(女+后)
桃と桜をならべて見ればいつれおとらぬ花の色
○●●○○○沢地萃
待夜の長さを四時間つめて逢夜の短いたしまいに
○○○●●○地風升
智恵は付もの勉強次第鳥や毛物が芸をする
○●●○●○沢水困
ちから自慢は役には立ぬ色の初わけは義理情
○●○●●○水風井
私しや長靴おまへはとんび晴て逢れぬ身の因果
○●●●○●沢火革
鎧兜は昔しの武者よ今じやシンポにつゝツぽう
●○●●●○火風鼎
白と黒とはわたしの胸に置ておまへにゆづる勝
○○●○○●震為雷
色をしたふて小蝶の客が通ひくるわの夜の花
●○○●○○艮為山
したふお人は深山のさくらたとる路さへないつらさ
●●○●○○風山漸
おまへに見せよと結つたる髪を夜中に乱すも又おまへ
○○●○●●雷沢帰妹
末の遂ない縁ならよしな苦労する身の甲斐がない
○○●●○●雷火豊
岸の柳はそよ吹に靡くふりして逃て居る
●○●●○○火山旅
入替引替客のせるのも浮た私しの舟だから
●●○●●○巽為風
斯なりや互ひの手ごとにや行ぬ入れざなるまい人のくち
○●●○●●兌為沢
意気なざんぎり小意気な坊主一つべつつい二タこゝろ
●●○○●○風水渙
あきらめませうぞ最お互ひに色増や紅葉も散ばかり
○●○○●●水沢節
わたしが思ひは西洋床よ結ぶに言れぬ神いぢり
●●○○●●風沢中孚
斯なりや別れか又惜くなる解たはなしの雪の朝
○○●●○○雷山小過
ヘチヤナげいしやも官員さんもおなし勤の身の苦労
○●○●○●水火既済
?たヱレキが感通なしてうれしいごげんが苦のはじめ
●○●○●○火水未済
お前いやでもほうばいのてまへわたしや意地でも呼とうす


C易占系統
 U白丸黒丸図のあるもの
  3判断文のあるもの
『銭判断八卦好此』(菊池真一蔵。皓月堂与介発行。明治二十五年)

銭判断八卦よしこの」(表紙)
銭判断八卦好此」(見返し)
八卦よし此序
大和歌は猛き心をば和らげ鬼神を感ぜしむ男女の中をもやわらぐるは歌なり草庵題林の振り玉とおもしろく屁玉のやうな御放屁いただきしもこゝに此よしこのの妙なるは師伝もなく秘説もなし百事に通づる八卦六十四卦に随ひ撰ぶれば其愛玩を願ふ而已
 明治二十五年 辰の新ぱん     融和斎暢堂」(二オ)
占見出し
(一〜三十三。白丸黒丸図は省略)」(二ウ)
(三十四〜六十四。白丸黒丸図は省略)

白は一銭
黒は龍形」(三オ)
座聴松風音」(三ウ)
一●●●●●●乾為天
(判断文省略)
胸の蒸気のつひ燃すぎていつも航海する苦労」(四オ)
二○○○○○○坤為地
あれさお待よ硝子で透(みへ)る只さへ人目の多い口」(四ウ)
三○●○○○●水雷屯
ぬしと添ふ身と育てゝくれた親なら孝行せにやならぬ」(五オ)
四●○○○●○山水蒙
恋の議院を出雲へたゝ色の会議がしてほしい」(五ウ)
五○●○●●●水天需
鮒やどぜうぢや私しなけれどもぬしのためには泥にすむ」(六オ)
六●●●○●○天水訟
アレサおよしよそりや鑑札だ見られちや隠した年がむだ」(六ウ)
七○○○○●○地水師
斯もしたらと議論をしてもどふもならない此規則」(七オ)
八○●○○○○水地此
たがひに寄添ひ心のたけを咄して嬉しい演舌所」(七ウ)
九●●○●●●風天小畜
一すぢ縄ではいかない奴だ三筋の糸にはしめられる」(八オ)
十●●●○●●天沢履
最早四時かと酒あたゝめて待間程なく靴の音」(八ウ)
十一○○○●●●地天泰
明の鐘の音きゝたくなひがゴンとなるとはたのもしい」(九オ)
十二●●●○○○天地否
丸く渉るは私しがうまみ抜もないぞへ新銅貨」(九ウ)
十三●●●●○●天火同人
好た同士でしみ/゛\ぬれて猶もうれしいはなの雨」(十オ)
十四●○●●●●火天大有
文明開化の西洋でさへも色で分たる国の絵図」(十ウ)
十五○○○●○○地山謙
うひもつらひも恋路の習ひ辛抱仕とげて宿の妻」(十一オ)
十六●○●○○○雷地予
かたいお前と思ひの外にみかけ計りの夏氷」(十一ウ)
十七○●●○○●沢雷随
筆ぢや笑わせ文句ぢやころしほんに佞弁(べんちやら)は罪つくり」(十二オ)
十八●○○●●○山風蠱
煙と知りつゝこゝろの浅間口の端にのる巻煙草」(十二ウ)
十九○○○○●●地沢臨
ぬしの心がくるはぬやうに神に願ひをかけ時計」(十三オ)
二十●●○○○○風地観
色をしたふて小蝶の客が通ひくるわの夜の花」(十三ウ)
二十一●○●○○●火雷噬●(口+盍)
あきらめませうぞ最お互ひに色増や紅葉も散ばかり」(十四オ)
二十二●○○●○●山火賁
憎いからすは開化で廃し残る恨みはあけの鐘」(十四ウ)
二十三●○○○○○山地剥
雨が取もつ相合傘に柄漏の雫でぬるゝ恋」(十五オ)
二十四○○○○○●地雷復
主の咄しは表もうらもなくて涼い門やなぎ」(十五ウ)
二十五●●●○○●天雷无妄
口の車へ野暮をば乗てそして三すじの糸でひく」(十六オ)
二十六●○○●●●山天大畜
神経病だと笑はゞわらへ夢やうつゝに主のかほ」(十六ウ)
二十七●○○○○●山雷頤
舟とさほとを持たないならばういたせかいはわたれまひ」(十七オ)
二十八○●●●●○沢風大過
送籍なければありや唯の人二等親とは言はりやせぬ」(十七ウ)
二十九○●○○●○坎為水
羅生門より晦日がこわい鬼が金札とりに来る」(十八オ)
三十●○●●○●離為火
泣てお客に貰らつた金は嘘のなみだのこぼれ福」(十八ウ)
三十一○●●●○○沢山咸
主と私しのその引力は月と地球もおよぶまい」(十九オ)
三十二○○●●●○雷風恒
届いた端書に名はないけれど気がねして出る家の首尾」(十九ウ)
三十三●●●●○○天山遯
ねずみ穴より女猫の穴が蔵のためには不用じん」(二十オ)
三十四○○●●●●雷天大壮
束縛されよと斯ふなりや侭よどうせ人目の関やぶり」(二十ウ)
三十五●○●○○○火地晋
今の此身を写真にとらせぬしに見せたいやつれがほ」(二十一オ)
三十六○○○●○●地火明夷
松といふ字は開化の文字よ君にわかれりや木(ぼく)ばかり」(二十一ウ)
三十七●●○●○●風火家人
言ふは悋気と堪忍ぶくろ縫て居るのも妻の義務」(二十二オ)
三十八●○○○●●火沢●(目+癸)
天晴立派な鯰をおさへでかした猫だと言われたい」(二十二ウ)
三十九○●○●○○水山蹇
なんのばちかや調子がくるひ結ぶ糸さへきれたがる」(二十三オ)
四十○○●○●○雷水解
口も軽いがおしりもかるい夫でも娠めば身はおもい」(二十三ウ)
四十一●○○○●●山沢損
ひるは夫の車を曳て夜るはおさせる照手姫」(二十四オ)
四十二●●●○●●風雷益
たゝきながら疑はしやんす赤い西瓜の気もしれず」(二十四ウ)
四十三○●●○○○○沢天夬
かたく育てた箱入ものを誰に解れる夏氷」(二十五オ)
四十四○○○●○○天風●(女+后)
おまへがさうしたごま菓子いへば私しやお臍で茶をわかす」(二十五ウ)
四十五○●●○○○沢地萃
君の安否は片仮名便り百里とゞくも一時間」(二十六オ)
四十六○○○●●○地風升
智恵は付もの勉強次第鳥や毛物が芸をする」(二十六ウ)
四十七○●●○●○沢水困
したふお人は深山のさくらたどる路さへないつらさ」(二十七オ)
四十八○●○●●○水風井
浮気心は少しもないが恋しいお方があるばかり」(二十七ウ)
四十九○●●●○●沢火革
冷ちやわるいと座蒲団出すはあついわたしのこゝろいき」(二十八オ)
五十●○●●●○火風鼎
手鍋さげよがおまへとくらしや何の不服があるものか」(二十八ウ)
五十一○○●○○●震為雷
帯やしごきで七巻半にまいてやりたや明の鐘」(二十九オ)
五十二●○○●○○艮為山
規則で鳴のかアノ明がらすたまにや日曜(どんたく)するがよい」(二十九ウ)
五十三●●○●○○風山漸
主の心と夏売る氷解るととけぬで苦労する」(三十オ)
五十四○○●○●●雷沢帰妹
風船にフツト乗られこちや登りつめ先は浮気な空だのみ」(三十ウ)
五十五○○●●○●雷火豊
若や夫かと門の戸明て見れば逃出す探訪者」(三十一オ)
五十六●○●●○○火山旅
猫や狐がうき世になけりやこんにや苦労をするものか」(三十一ウ)
五十七●●○●●○巽為風
斯なりや互ひの手ごとにや行ぬ入ざなるまへ人のくち」(三十二オ)
五十八○●●○●●兌為沢
主が来たかと窓の戸明りや憎やからすの阿房なき」(三十二ウ)
五十九●●○○●○風水渙
嘘も誠も仕方で知れる隠すおまへの気が知れぬ」(三十三オ)
六十○●○○●●水沢節
世帯かためてヤレうれしやと思やおまへのまた浮気」(三十三ウ)
六十一●●○○●●風沢中孚
三味線の撥を小楯に欠伸を隠し無理にこぼしたそら涙」(三十四オ)
六十二○○●●○○雷山小過
惚たお方は皆筒袖ですがる袂のないつらさ」(三十四ウ)
六十三○●○●○●水火既済
心とこゝろがあひさへすれば性があはふが合まいが」(三十五オ)
六十四●○●○●○火水未済
ぬしは原告私しは被告まはす屏風の判事やく」(三十五ウ)
明治廿五年四月八日印刷
同   年四月十日出版
定価四銭五厘
愛知県尾張国名古屋市江川町百九十八番戸
編輯兼印刷発行者 佐藤富
発行者   名古屋市江川町四丁目
         皓月堂与介
発売所   名古屋市門前町三丁目
         佳月堂安吉
      同  市本町二丁目
         新月堂逸三郎」(裏見返し)


六 終わりに
 都々逸そのものの研究、易占と都々逸との関係など、調査しなければならないことは多々あるが、別の機会に譲りたい。



(注一)青木元氏の御研究には、次のようなものがある。
   『辻占』(平成九年。辻占研究社発行。)
   『辻占 平成10年版』(平成十年。辻占研究社発行。)
   『辻占 平成11年版』(平成十一年。辻占研究社発行。)
   『辻占 平成12年版』(平成十二年。辻占研究社発行。)
   『辻占 平成13年版』(平成十三年。辻占研究社発行。)
   『明治期の辻占』(平成十三年。辻占研究社発行。)
   『辻占読本 その2』(平成十六年)