円朝の都々逸(『円朝全集』未収録資料)
 
 
延広真治先生の御教示によって記す。

山々亭有人『花暦封じ文』(慶応二年)に円朝作都々逸が掲載されている。

たとへ切れてもたよりはさんせ
 あれた志賀にもさくさくら
         三遊亭
           円 朝

東京大学文学部国語研究室蔵本は、
三編上巻初丁、
東京都立中央図書館東京誌料本は、
二編上巻初丁、
にある。
三康図書館本・福井市立図書館本・天理大学本・専修大学本・関西大学本・大阪大学本は未見。


「あれた志賀にもさくさくら」
は、
平忠度の、

さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな

を踏まえたもの。
この歌は、『千載和歌集』春歌上では、「読人しらず」となっている。事情は『平家物語』に記されている。
 
 
 
2021年1月11日公開
 
 
菊池眞一