増鏡 尾張徳川家本

凡例
底本: 岩波文庫  和田英松 校訂 岩波書店 1931年(昭和六年)
 古本系の第一類(応永本)の尾張徳川家本(蓬左文庫蔵)により、諸本を以て校訂した物です。(「緒言」より)

増鏡の現存諸本は、古本系と増補本系の二つに大別できます。
古本系は、十七巻からなり、三類に分けられます。翻刻されている物には、
第一類(応永本)
   尾張徳川家本(蓬左文庫蔵)= 岩波文庫・新訂増補国史大系・日本古典全書、
   岩瀬文庫本= 校注古典叢書、
   御物本(書陵部蔵)= 『増鏡通釈』(佐成謙太郎、昭和13年)、
第二類(桂宮本・谷森本)
   書陵部蔵桂宮本= 講談社学術文庫(井上宗雄)
第三類(永正本)
   学習院大学蔵永正本= 日本古典文学大系(時枝誠記・木藤才蔵)
   書陵部蔵永正片仮名本= 『片仮名本増鏡の研究・本文資料篇』(佐藤高明、昭和51年)。
が有ります。
増補本系は、古本系の一部を増補したもので、十九巻のものと二十巻のものとが有ります。翻刻されている物には、
   源起記本= 『片仮名本増鏡の研究・本文資料篇』、
   古活字本= 史籍集覧、
   印本を底本に編次を多少改めたもの= 『重修増鏡詳解』(和田英松・佐藤球、大正14年)。
が有ります。戦前には、多く出版されていますが、ほとんどが増補本系です。

原則として本文は底本通りですが、表記を改めました。
漢字、仮名の表記を一部修正しました。(仮名に漢字を充て、漢字を仮名に直しました。)
濁点の表記を一部修正しました。
読み(振り仮名)を一部修正しました。
助詞の「む」、「らむ」を、「ん」、「らん」に一部直しました。
他本により、語句・文を補った物は、〔  〕に入れました。
校訂者の記した、(  )に入れた説明の語句及び、〔序〕の会話の前の「尼」、「人」等は、原本にない物で、省略しました。
底本のページ数を記しました。